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第303回生存圏シンポジウム
木の文化と科学XV
「木の文化を遺す -オモテの話、ウラの話-」

開催日時 2016(平成28)年1月21日 (木) 13:30–16:40
開催場所 京都大学生存圏研究所木質ホール3階
主催者 京都大学生存圏研究所
申請代表者 杉山淳司 (京都大学生存圏研究所バイオマス形態情報分野)
所内担当者 菅野奈々子 (京都大学生存圏研究所バイオマス形態情報分野)
関連ミッション ミッション 4 (循環型資源・材料開発)
関連分野 千年居住圏。

共催:奈良文化財研究所 埋蔵文化財センター 保存修復科学研究室

目的と具体的な内容

古から伝わる木質文化財を保存すること、すなわち木の文化を守り伝えていくためには、様々な取り組みが必要である。建造物、仏像、出土木製遺物など、文化財の種類によってもその保存のコンセプトは異なり、それぞれに見合った手法が必要である。私たちの目の前にある木質文化財は、ただ単にそこに建っている、あるいは置かれているのではなく、その状態にするまでにあるいはその状態を保てるように、多くの陰ながらの努力がなされてきている。「木の文化を遺す —オモテの話、ウラの話—」と題した今回のシンポジウムでは、木質文化財と日々向き合っている各方面の専門家の先生方から、文化財を保存し未来へと伝えていく上での隠れた技術や人々の努力といった、オモテを見ただけではわからないウラの話を拝聴することとした。文化庁の調査官からは、京大構内から発掘されている北白川追分町遺跡の詳細や文化財防火についての講演、京都府庁の建造物修復担当者からは修復現場における現状ならびに屋根裏から見える古の大工の知恵、仏像の仏師かつ修復師からは木彫像に用いられる樹種の歴史的変遷について作り手視点からの見識を伺った他、出土木製品の保存に携わる奈良埋蔵文化財センターの研究者からは出土遺物の保存における現状と課題について御講演頂いた。

生存圏科学の発展や関連コミュニティの形成への貢献

持続可能な未来を実現することが現代を生きる我々の使命である。古の英知を科学で抽出し、深く理解することが、未来型の循環型生活への道しるべとなると考えられる。

本シンポジウムは、古の日本人が知恵を絞ってつくりあげた木の文化から様々な情報を抽出することで得られた情報を、人類が歩もうとしている未来の構築に向けたデータとして活用することを目標に過去15回開催してきた。

今回のシンポジウムでは、華麗な木の文化に秘められたウラの一面を専門家から教示してもらうことにより、これまでオモテの一側面からしから得られなかった古の知をより深みのある知へと高めることができた。

文化財を未来へ残すこと、これはそのもの自体を物理的に残すのみならず、文化財から科学を用いて得られた情報を未来の構築に活用することも意味する。

本研究集会で得られた知見は、未来の循環型生活へのヒントを多く含むと考えられることから有益であった。

プログラム

13:30開会 ごあいさつ
京都大学生存圏研究所 杉山淳司
13:40–14:20『木質文化財の保存と活用 —多様性の認識と展開—』
文化庁美術学芸課 建石徹
14:20–15:00『文化財建造物を支える職人の知恵と技 —解体修理でわかる伝統技術—』
京都府教育庁文化財保護課 鶴岡典慶
15:20–16:00『木彫仏、常識のウソ・ホント』
東京芸術大学古美術研究施設 矢野健一郎
16:00–16:40『発掘された考古木製遺物を保存する』
奈良文化財研究所埋蔵文化財センター 高妻洋成

Symposium-0303
ポスター PDF ファイル (1 992 840 637 バイト)

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2015年11月11日作成,2016年2月1日更新