第302回生存圏シンポジウム
文化財建造物やその町並みの保存等技術と活用による地域活性化の可能性
開催日時 | 2015(平成27)年12月19日 (土) 13:30–17:30 |
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開催場所 | 京都大学生存圏研究所木質ホール3階 |
主催者 | 京都大学生存圏研究所、伸木会 |
申請代表者 | 清水秀丸 (富山県農林水産総合技術センター) |
所内担当者 | 森拓郎 (京都大学生存圏研究所生活圏構造機能分野) |
関連ミッション |
ミッション 4 (循環型資源・材料開発) |
関連分野 | 文化財、観光、建築、土木、木質材料、経済など。 |
目的と具体的な内容
2007(平成19)年1月に施行された観光立国推進基本法や2012(平成24)年3月30日閣議決定された観光立国推進基本計画など、我が国は観光産業の活性化に向けた取り組みを強化中であり、今後も継続されることが確実視されている。また、我が国は多数の世界遺産・国宝・文化財建造物等が存在するなど、良質な観光資源にも恵まれている。しかしながら、国際観光機関が発表する国際観光客到着数(2014年)は世界27位(約1000万人)と低く、1位のフランス(約8500万人)に大きな差を有する。本研究集会では、観光資源となりうる文化財建造物(木造)を良質な状態で保ち、後生に伝えていくことで観光産業を更に活性化し、より大きな経済効果を生むことに着目したものである。
研究集会では先ず、奈良女子大学教授・宗教法人平等院代表の宮城先生から「文化財の保全再生と地域活性化」、文化庁文化財部参事官付の西川氏から「文化財建造物の活用と耐震対策」、京都大学教授の藤井先生から「文化財建造物の劣化特性、診断と耐久性評価」、文化財建造物保存技術協会の津和氏から「文化財建造物の改修工事」という題目で講演をいただいた。文化財建造物を使い続けることの意義や地域のランドマークとして提供することの大切さ、使い続けられるようにするためのルールの整備や展開、維持管理や保存方法、そして修復という、すべての活動について紹介があった。その後、ディスカッションでは、今後どのように文化財建造物を守り、活用していくのかについて議論があり、大変盛況であったために、時間超過しての終了となった。
生存圏科学の発展や関連コミュニティの形成への貢献
本研究集会は、文化財建造物の維持・保存・修復、またその規則の理解と、観光などの目玉としてのランドマークとしての活用、というあまり一緒に語られていないものについて、解説し、議論することで生活圏の捉え方を個別的でなく、より広がりを持つものとして考える機会を得るものである。そのため、今まで個別的に建物一個の性能について議論してきたものが、広い視野で考え、評価・理解することにつながるものと考えている。京都地域には、多くの文化財建造物があり、この維持・保全・修復において必要な検討項目や課題が見えることで、今後の企業との連携につながるのではないか、また京都のみならず、他地域からの参加もみられたため、より広い範囲で、本問題について興味を持っている学生や他大学の研究者、企業などの新しい連携に貢献したと考える。
特記事項
午前中に平等院の改修の紹介などの見学会を実施した。シンポジウム終了後、討論会を実施した。次の日にまとめ作業をおこなった。
プログラム
司会 瀧野敦夫(奈良女子大学・講師) | |
13:30–13:40 | 開会挨拶 清水秀丸(富山県農林水産総合技術センター木材研究所) |
13:40–14:30 | 文化財の保全再生と地域活性化 宮城俊作(奈良女子大学・教授/宗教法人・平等院) |
14:30–15:20 | 文化財建造物の活用と耐震対策 西川英佑(文化庁文化財部参事官付(建造物担当)) |
15:20–15:30 | 休憩 |
15:30–16:20 | 文化財建造物の劣化特性、診断と耐久性評価 藤井義久(京都大学・教授) |
16:20–17:10 | 文化財建造物の改修工事 津和佑子(公益財団法人文化財建造物保存技術協会) |
17:10–17:30 | ディスカッション コーディネータ 清水秀丸、瀧野敦夫 パネラー 宮城俊作、西川英佑、藤井義久、津和祐子 |
17:30 | まとめの挨拶 清水秀丸 |
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2015年11月5日作成,2015年12月28日更新