第299回生存圏シンポジウム
平成27年度国立極地研究所研究集会
平成27年度STE現象解析ワークショップ
「第5回極端宇宙天気研究会」
開催日時 | 2015(平成27)年11月11日(水)13:00–18:00~12日(木)9:30–16:10 |
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開催場所 | 名古屋大学グリーンサロン東山1F会議室 (キャンパスマップのD1④) |
主催者 | 桂華邦裕、海老原祐輔、塩田大幸、片岡龍峰、西谷望、亘慎一、阿部修司 |
申請代表者 | 桂華邦裕 (名古屋大学太陽地球環境研究所) |
所内担当者 | 海老原祐輔 (京都大学生存圏研究所生存科学計算機実験分野) |
関連ミッション |
ミッション 3 (宇宙環境・利用) |
関連分野 | 地球超高層物理学、太陽物理学、惑星間空間物理学。 |
キャンパスマップ:http://www.nagoya-u.ac.jp/access-map/index.html
目的と具体的な内容
太陽活動度は近年徐々に下がりつつあり、第24サイクルの極大期は近代的な観測が始まって以来最も低調であった。もし今後10年太陽活動が低下し続けた場合、グランドミニマム期に入る可能性がある。グランドミニマム期は、太陽活動に依存する気候変動の解明にとって重要な時期であるだけでなく、放射線帯粒子の長期間捕捉やオーロラ帯の縮小など、低調な太陽風環境による影響が顕著になると考えられている。一方で、2012年7月に発生した強大な太陽嵐のように、静穏期であっても巨大なフレア爆発は発生する。もし地球側面で発生していれば、キャリントンイベント規模の超巨大磁気嵐が発生していた可能性がある。今後予想される静穏太陽サイクルが、太陽圏や内部磁気圏の高エネルギー粒子環境といった「宇宙生存圏」に与える影響を検討する必要がある。
研究集会では、実際のマウンダー極小期における宇宙線変動から現太陽活動サイクルの太陽圏・地球磁気圏環境まで幅広く議論を行った。また、予想外に巨大化した2015年3月17日の磁気嵐などを取り上げ、太陽活動静穏時にも発生し得る、惑星間空間衝撃波の到達やコーラス波動に伴う瞬間的な強放射線帯の生成などを議論した。
生存圏科学の発展や関連コミュニティの形成への貢献
現代社会は宇宙の高エネルギー粒子環境に影響を受けやすい高度科学技術(人工衛星など)に強く依存している。今後10年ほどで人類は、グランドミニマム期に直面していく可能性がある。本研究集会で集中的に議論した、(1)グランドミニマム期における太陽圏および磁気圏環境、および、(2)グランドミニマム期であっても「宇宙生存圏」に大きな影響を与え得る突発的な宇宙天気現象は、近い将来に起こり得る宇宙線増大や宇宙嵐への備えに繋がるテーマである。また、本研究対象は地球電磁気圏から太陽圏まで広域をカバーするため、異分野間交流を深めることができる。
プログラム
11月11日(水)
13:00–13:25 | 宮原ひろ子(武蔵野美術大学) マウンダー極小期の太陽圏と宇宙線変動 |
13:25–13:50 | 堀田英之(千葉大学) 太陽ダイナモから考えるグランドミニマム |
13:50–14:15 | 政田洋平(愛知教育大学) 対流ダイナモの励起条件から探る太陽活動のグランドミニマム |
14:15–14:35 | 休憩 |
14:35–14:55 | 片岡龍峰(国立極地研究所) グランドミニマムの太陽風構造について |
14:55–15:15 | 亘慎一(情報通信研究機構) サイクル24の太陽風と1999年5月10–12日の低密度太陽風イベント |
15:15–15:35 | 岩木美延(九州大学) 磁場のない太陽風に対する地球磁気圏の応答 |
15:35–15:55 | 海老原祐介(京都大学) 惑星間空間衝撃波到来時の内部磁気圏変動 |
15:55–16:15 | 栗田怜(名古屋大学) 強い放射線帯を形成するコーラス波動についての仮説 |
16:15–16:35 | 休憩 |
16:35–16:55 | 寺本万里子(宇宙科学研究所) 磁気静穏時に内部磁気圏で引き起こされるULF波動と高エネルギー粒子の関係 |
16:55–17:15 | 早川尚志 (京都大学) 775年及び994年の極端宇宙天気現象に纏わる同時代史料とその考察 |
17:15–17:35 | 河村聡人(京都大学) 清代におけるオーロラ記録の統計的傾向とその内容 |
17:35–18:00 | 鈴木建(名古屋大学) 太陽風の逆流現象 |
11月12日(木)
09:30–09:50 | 西谷望(名古屋大学) 極端静穏時における電離圏対流の特性について |
09:50–10:10 | 菊池崇(名古屋大学) 磁気圏電離圏対流と磁気圏波動に共通する電離圏電場特性 |
10:10–10:30 | 休憩 |
10:30–10:50 | 藤田茂(気象大学校) 南IMFでのnull-separator構造と磁気圏対流 |
10:50–11:10 | 田中高史(九州大学) 対流変動によるサブストームの発生 |
11:10–11:30 | 阿部修司(九州大学) 九大多磁場観測網を用いた地磁気誘導電流関連研究の展開と展望 |
11:30–13:00 | お昼休憩 |
13:00–13:50 | 鷲見治一 (アラバマ大学) 太陽圏外圏構造と銀河宇宙線輸送過程 |
13:50–14:15 | 三宅晶子(茨城高専) 太陽圏内における宇宙線変調の22年周期変動 |
14:15–14:30 | 松本倫明(法政大学) AMRコードSFUMATOによる太陽圏モデルの構築: モデルと性能評価 |
14:30–14:50 | 休憩 |
14:50–15:10 | 塩田大幸(名古屋大学) フラックスロープを含むCME伝搬過程のMHDシミュレーション(SUSANOO-CME) |
15:10–15:30 | 山野内雄哉(名古屋大学) 太陽風予測モデルSUSANOO-SWの予測精度改良の試み |
15:30–15:50 | 伊集朝哉(名古屋大学) 2015年3月17日磁気嵐を引き起こしたCME-CIR複合イベントの解析 |
15:50–16:10 | 桂華邦裕 (名古屋大学) 2015年3月17日磁気嵐中のリングカレントイオンの振る舞いについて |
16:10 | 閉会のあいさつ 桂華 |
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2015年11月11日作成,2016年3月18日更新