第290回生存圏シンポジウム
太陽地球環境データ解析に基づく、超高層大気の空間・時間変動の解明
Investigation of temporal and spatial variations in the upper atmosphere, based on the comprehensive analysis of solar-terrestrial environment data
開催日時 | 2015(平成27)年8月17日(月)10:00~19日(水)16:50 |
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開催場所 | 国立極地研究所3階セミナー室 |
主催者 | 田中良昌(国立極地研究所) |
申請代表者 | 田中良昌(国立極地研究所) |
所内担当者 | 津田敏隆(京都大学生存圏研究所大気圏精測診断分野) |
関連ミッション |
ミッション 1 (環境計測・地球再生) |
関連分野 | 地球惑星科学,地球電磁気学,気象学、データベース。 |
目的と具体的な内容
目的
当研究集会では、太陽及び地球超高層大気の各領域を専門とする研究者の方々に最新の研究成果を講演してもらい、何が未解明な最重要課題であり、今後どのような共同研究の方向性があるのか、必要なデータや解析ツールは何か等、幅広く議論することを目的とする。同時に、情報・データベース関連の研究者による講演も行い、メタデータデータベースや解析ツール等、分野横断研究を促進するインフラについての最新情報を共有する。
具体的な内容
8月17~18日には、前半に主に太陽・地球惑星科学分野のデータベースや解析ツール、並びに、オープンサイエンス、データ引用、データについての国際連携活動等、近年ホットな話題に関する講演が行われた。後半には、実際に多様なデータを利用した分野横断型研究についての講演が行われ、データ検索システムや統合解析ツール、画像判別アルゴリズム等の応用の重要性が確認された。
8月19日には、IUGONETが開発している超高層大気データの解析ツール「SPEDAS/UDAS」の講習を行った。実際に、SPEDASのインストール、及び、GUIを使った簡単なデータのロード、プロット、解析を経験していただいた。
生存圏科学の発展や関連コミュニティの形成への貢献
研究集会では、太陽・地球超高層大気の各領域の最新研究課題、及び、データベース、解析ツール等についての講演が多数行われた。これにより、地球惑星科学、気象学、情報科学等の異分野間での情報共有を行うと同時に、現在の生存圏科学に代表される分野横断型研究の手法や問題点についても幅広い議論を行うことができ、共同研究の促進に繋がったと考えている。また、最近特に話題となっているオープンサイエンス、データ引用、データ中心科学、データについての国際連携活動等の講演も行われ、生存圏データベースをはじめとするデータベース基盤の今後の方向性についても、深い議論を行うことができた。
また、最終日のデータ解析講習セッションでは、京大生存圏研究所も参画している大学間連携プロジェクト「IUGONET」で開発された解析ツール「SPEDAS/UDAS」を使った解析講習を行った。講習後に行われたアンケート集計結果では、講習セッションの評価は概ね良好であり、本研究集会がSPEDASユーザの拡大、及び、生存圏科学に関連するデータの流通、共同研究の促進に貢献できたと考えられる。
特記事項
本シンポジウムのプログラム及び講演資料は、次のウェブサイトに掲載している。
http://www.iugonet.org/meetings/2015-08-17_19.html
プログラム
8月17日(月)
13:00–13:05 | 開会あいさつ 中村卓司(極地研) |
13:05-13:10 | 趣旨説明 田中良昌(極地研) |
13:10–13:30 | IUGONETシステム報告 梅村宜生(名大STE研)、田中良昌(極地研)、阿部修司(九大ICSWSE)、小山幸伸(新領域融合研究センター)、八木学(東北大)、新堀淳樹(京大生存研)、上野悟(京大天文台) |
13:30–13:50 | IUGONET解析ソフトウェア報告 田中良昌(極地研)、梅村宜生(名大STE研)、新堀淳樹(京大生存研)、小山幸伸(新領域融合研究センター)、阿部修司(九大ICSWSE)、八木学(東北大)、上野悟(京大天文台) |
13:50–14:10 | ジオスペース探査 ERGプロジェクトに向けて: ERGサイエンスセンターの取り組みから 三好由純、関華奈子、堀智昭、宮下幸長、小路真史、瀬川朋紀、梅村宜生(名大STE研、宇宙科学連携拠点ERGサイエンスセンター)、篠原育(宇宙研、宇宙科学連携拠点ERGサイエンスセンター) |
14:10–14:30 | SCOSTEP-WDS Workshop(28-30 September 2015)におけるIUGONETとの連携 渡邉堯(WDS-IPO) |
14:30–14:40 | 休憩 |
14:40–15:00 | Current status of collaboration between the IUGONET and ESPAS projects Bernd Ritschel (GFZ, Potsdam), Toshihiko Iyemori, Yukinobu Koyama, Guenther Neher and Christoph Seelus |
15:00–15:20 | World Data Systemと日本のオープンサイエンス 村山泰啓(NICT/ICSU-WDS)、渡邊堯(WDS-IPO/NICT) |
15:20–15:40 | 国立極地研究所におけるデータジャーナルの検討状況及び学術情報リポジトリ等の活動について 南山泰之(極地研) |
15:40–16:00 | オープンサイエンスとデータ引用の最近の話題 能勢正仁(京大地磁気)、村山泰啓(NICT) |
16:00–16:20 | 北極域データアーカイブ(ADS)の現状 矢吹裕伯、杉村剛、照井健志(極地研) |
16:20–16:40 | 北極域データアーカイブにおける可視化解析Webアプリケーションの開発 照井健志、杉村剛、矢吹裕伯(極地研) |
16:40–17:00 | JavaFX-based iUgonet Data Analysis Software(JudasFX)のプロトタイプ開発 小山幸伸(新領域融合研究センター)、佐藤由佳(極地研)、中野慎也(統数研)、八木学(東北大)、田中良昌(極地研)、阿部修司(九大ICSWSE)、能勢正仁(京大地磁気)、蔵川圭(情報研)、池田大輔(九大)、梅村宜生(名大STE研)、新堀淳樹(京大生存研)、上野悟(京大天文台) |
8月18日(火)
09:30–09:50 | 地球電磁気学・太陽地球系物理学におけるデータ解析の歴史 荒木徹(前京大理) |
09:50–10:10 | 国立天文台太陽観測所最新の観測システムと、太陽活動データベースメタデータ提供状況 森田諭、花岡庸一郎、桜井 隆(国立天文台)、荒井武彦(宇宙研) |
10:10–10:30 | 地磁気観測所におけるデータの公開状況 長町信吾(柿岡地磁気観測所) |
10:30–10:50 | 休憩 |
10:50–11:10 | 東北大学におけるデータベースの現状 八木学、小原隆博、熊本篤志、土屋史紀、鍵谷将人、米田瑞生、三澤浩昭(東北大)、岩井一正(NICT)、寺田直樹、笠羽康正(東北大)、大矢浩代(千葉大) |
11:10–11:30 | 名大STE研の電磁気圏地上観測ネットワークの現状と今後 塩川和夫、大塚雄一(名大STE研) |
11:30–11:50 | 太陽放射量の一時的な変動が中間圏オゾンに及ぼす影響について 今井弘二(宇宙研)、今村隆史(環境研)、高橋けんし(京大生存研)、秋吉英治(環境研)、山田陽洋、鈴木睦、海老沢研(宇宙研)、塩谷雅人(京大生存研) |
11:50–13:00 | 昼休み |
13:00–13:20 | SuperDARN北海道-陸別HFレーダーサイトに設置したデジタルカメラによる電離圏プラズマ・超高層大気変動の観測 西谷望(名大STE研) |
13:20–13:40 | HOG特徴量を用いたオーロラの形状変化による出現判定 吉浪遼(北九州高専)、田中良昌、佐藤由佳(極地研) |
13:40–14:00 | SPEDASを用いたオメガバンドオーロラとPs6地磁気脈動の解析 佐藤夏雄、門倉昭、田中良昌(極地研)、堀智昭(名大STE研)、行松彰(極地研) |
14:00–14:20 | 昼間側Pi2型地磁気脈動の等価電流分布と夜側FACの作る電離層電流系 今城峻(九大理)、吉川顕正、魚住禎司(九大ICSWSE)、大谷晋一(ジョンズホプキンスAPL)、中溝葵(NICT) |
14:20–14:40 | 休憩 |
14:40–15:00 | 地磁気日変化振幅に見られる超高層大気変動について 新堀淳樹(京大生存研)、小山幸伸(情報システム研究機構)、能勢正仁(京大地磁気)、堀智昭、大塚雄一(名大STE研)、IUGONETプロジェクトチーム |
15:00–15:20 | GNSS-TECで見る、最近の火山噴火に伴う電離圏擾乱 中島悠貴、日置幸介(北大理) |
15:20–15:40 | ポーカーフラットMFレーダーで観測された中間圏重力波に伴う半日潮汐変動 木下武也、村山泰啓(NICT) |
15:40–16:00 | Hocking法を用いた中間圏・下部熱圏における運動量フラックスの検証について 松本直樹、新堀淳樹、津田敏隆(京大生存研) |
16:00–16:20 | 地上・衛星統合解析に基づく磁気擾乱時の中層大気上部の応答の検証 西山尚典、中村卓司(極地研)、佐藤薫(東大)、堤雅基、江尻省、冨川喜弘、田中良昌(極地研)、津田卓雄(電通大) |
16:20–16:25 | コメント 家森俊彦(京大地磁気) |
8月19日 (水)
データ解析講習セッション | |
11:00–12:00 | SPEDASのインストールと解説 阿部修司(九大ICSWSE) |
12:00–13:00 | 昼休み |
13:00–14:20 | GUI-基本操作 梅村宜生(名大STE研) |
14:20–14:30 | 休憩 |
14:30–15:50 | GUI-データ解析 新堀淳樹(京大生存研) |
15:50–16:00 | 休憩 |
16:00–16:50 | CUI操作の紹介 田中良昌(極地研) |
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2015年8月7日作成,2015年12月1日更新