第205回生存圏シンポジウム
京都大学生存圏研究所と宮崎県木材利用技術センターとの研究協定締結記念シンポジウム
—両機関の研究紹介と今後の共同研究の可能性について—
開催日時 | 2012/06/25(月曜日) 10:40–16:00 |
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開催場所 | 宮崎県木材利用技術センター 大会議室 (都城市花繰町21番2号) |
主催者 | 飯村豊 (宮崎県木材利用技術センター長) 小松幸平 (京都大学生存圏研究所・教授) |
申請代表者 | 小松幸平 (京都大学生存圏研究所生活圏構造機能分野) |
関連ミッション |
ミッション 4 (循環型資源・材料開発) |
関連分野 | 建築、木質材料、林産、農業、畜産業、林業、水産業、食品、公衆衛生。 |
目的と具体的な内容
2011(平成23)年 10 月 20 日(木)に京都大学生存圏研究所と宮崎県木材利用技術センターは連携・協力に関する協定を締結した。協定締結のきっかけを与えた研究ジャンルは木材利用と木構造研究ではあったが、両所長を含め双方の担当者が直接話合った結果、必ずしも狭い研究領域にこだわらず、宮崎県の場合は広く県立の公設試験研究機関全体(宮崎県立試験研究機関長協議会)に呼びかけを拡げ、工業、農業、畜産業、林業、水産業、食品、公衆衛生等の幅広い研究ジャンルも含めた交流に発展させてはどうかということになった。そこで、お互いの研究内容を知り、そこから新たな研究交流の枠を拡げる目的で、表記のシンポジウムを開催することを約束した。
これを受けて、2012(平成24)年 6 月 25 日(月)に宮崎県木材利用技術センターにおいて、平成 24 年度宮崎県県立試験研究機関合同研修会との共催という形で、第 205 回生存圏シンポジウム「京都大学生存圏研究所と宮崎県木材利用技術センターとの研究協定締結記念シンポジウム —両機関の研究紹介と今後の共同研究の可能性について—」を開催した。最初に木材利用技術センターの飯村所長より、今回の締結をきっかけとして今後宮崎県研究機関同士の横の連携のみならず、それぞれが生存研との幅広い交流持つ機会へと発展することを期待するとの挨拶が有った。続いて、小松教授より協定の趣旨説明の他に、生存研の沿革・活動内容についての説明があった。
その後 2 度の休憩を挟んで研究発表・討論会が開催された。宮崎県からは農業・畜産業等における問題点の指摘や新たな技術開発案件など計 9 件、生存研からは地球環境や材料利用面における森林・木質材料の評価に関する計 6 件の、多岐なテーマに渉る発表が有り、活発な討論が行われた。
生存圏科学の発展や関連コミュニティの形成への貢献
宮崎県立の公設試験機関には木材利用を始めとして工業、農業、畜産業、林業、水産業、食品、公衆衛生等の分野が含まれている。一方、生存圏研究所の研究分野は、これらの公設機関の研究分野と厳密に対応するものではないものの、宇宙環境と木質材料との関係、エアロゾル、森林圏での大気成分の精密分析、ナノファイバー、木質構造の耐久性、木材の特質を活かした木質構造の開発等、双方にとって興味深いテーマが含まれていた。
今回の第 205 回生存圏シンポジウムをきっかけに、京都大学生存圏研究所と宮崎県木材利用技術センターとの研究協力の輪をさらに拡大するとともに、宮崎県立の公設試験機関との相互理解を始めるきっかけを与える萌芽的な研究シーズに触れることができ、双方の研究ポテンシャルの向上に寄与することができた。
特記事項
本シンポジウムの様子は宮崎放送の午後 6 時 10 分からの地元向けニュースで放映された。
プログラム
10:45–11:00 | 中村雅和 (衛生環境研究所・主任技師) 九州・沖縄・山口地方酸性雨共同調査研究について |
11:00–11:15 | 小玉誠 (工業技術センター・主任研究員) オゾンマイクロバブルを用いたメタン発酵消化液の脱色 |
11:15–11:30 | 福山明子 (食品開発センター・主任研究員) 食品産業実需者が求める農産物と一次加工品 —宮崎県食品関連企業実態調査結果から— |
11:30–11:45 | 榎本清和 (総合農業試験場・主任研究員) ピーマンの土壌病害複合抵抗性台木の育成について |
11:45–12:00 | 杉田亘 (総合農業試験場・主任研究員) 土壌病害複合抵抗性台木の開発 |
12:00–13:15 | 昼食、ポスター展示 |
13:15–13:30 | 鍋西久 (畜産試験場・主任技師) 暑熱ストレスが乳用牛の繁殖性に及ぼす影響と対策 |
13:30–13:45 | 渡慶次力 (水産試験場・主任技師) 海洋観測からみえてきた日向灘の海況変動特性について |
13:45–14:00 | 三樹陽一郎 (林業技術センター・特別研究員兼副部長) Mスターコンテナを用いた育苗システムの開発と実用化 |
14:00–14:15 | 中谷誠 (木材利用技術センター・主任研究員) スギ(軽軟質材)に適したネジ形状の開発 |
14:15–14:25 | 休憩 |
14:25–14:40 | 小嶋浩嗣 (京都大学生存圏研究所宇宙電波科学分野・准教授) 宇宙環境と木質、 |
14:40–14:55 | 矢吹正教 (京都大学生存圏研究所大気圏精測診断分野・助教) 大気中を浮遊する微粒子(エアロゾル)のリモートセンシング |
14:55–15:10 | 高橋けんし (京都大学生存圏研究所大気環境科学・准教授) 森の大気をレーザーで観る |
15:10–15:25 | 阿部賢太郎 (京都大学生存圏研究所生物機能材料分野・助教) 樹木を支えるセルロースナノファイバー |
15:25–15:40 | 森拓郎 (京都大学生存圏研究所生活圏構造機能分野・助教) 木質構造の耐久性について |
15:40–15:55 | 北守顕久 (京都大学生存圏研究所生活圏構造機能分野・助教) 木材の性能を活かした構造耐力要素の探求 |