第270回定例オープンセミナー
レーダーインバージョンによる地球大気の精測
開催日時 | 2021(令和3)年7月28日(水) 12:30–13:20 |
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開催場所 | オンライン(Zoom) |
発表者 | 西村耕司 (京都大学生存圏研究所・准教授) |
関連ミッション |
ミッション1 環境診断・循環機能制御 ミッション3 宇宙生存環境 |
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オープンセミナー事務局: rish-center_events@rish.kyoto-u.ac.jp
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要旨
ゲリラ豪雨やマイクロダウンバーストなどの局所的な極端気象現象は,我々の移動や生活における生存安全保障上の脅威となっており,その発達段階での検出が喫緊の課題となっている.大気レーダー/ウィンドプロファイラー,気象レーダーなど各種レーダーにその役割が期待されるが,原理的に風速ベクトルのドップラー(ラジアル)速度成分しか計測できない.このためスケールの小さな擾乱風速場を3次元的に捉えることはできず,極端気象の早期検出への障害となっている.近年,大気レーダー観測における各種バイアス補正のために厳密なスペクトル観測方程式が導出されたことを背景として,精密な風速場の推定を行うための技術開発を進めている.MUレーダーを中心とした各種レーダーに新手法を適用し,3次元ベクトル風速場の微小擾乱推定を行う技術について概説する.
この技術は他にも様々な応用が考えられる.一般にレーダーは送受信スイッチング時間による制約のため近傍の観測を苦手としている.このため大気レーダーにおいても1000 m程度以下の観測ができないことが弱点となっており,境界層,下部対流圏の研究における大きな障害となっている.低高度の不感域を外付けの受信専用アンテナによりカバーする(バイスタティック観測)ことはハード的には可能であるが,精密に風速場を推定するためにはアレイ近傍界であることを厳密に考慮した解析が必要となりソフト的には容易でない.上述のスペクトル観測方程式の数値解を直接計算するインバージョンにより風速などを求める技術について概説する.
図 1.ドップラー速度観測(従来法)から3次元速度の直接観測(新手法)へ.
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2021年7月9日作成,2021年7月14日更新