第237回定例オープンセミナー
ストレプトスリシン類縁抗生物質の生合成研究に見出した新規アミド合成酵素
Amide forming enzymes identified in streptothricin biosynthesis
開催日時 | 2018(平成30)年10月24日(水) 12:30–13:20 |
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開催場所 | 総合研究実験1号棟5階 HW525 |
発表者 | 濱野吉十 (福井県立大学大学院生物資源学研究科・教授) |
関連ミッション |
ミッション5 高品位生存圏 |
要旨
微生物によって生産されるペプチド化合物の多くは、非リボソームペプチド合成酵素(NRPS)によって生合成される。NRPSは、タンパク性アミノ酸以外のアミノ酸も基質として利用できることから、合成されるペプチド化合物の化学構造は多様である。その一方で、ペプチド鎖長(アミノ酸残基数)については、NRPSのドメイン構造によって厳密に制御されており一般的に多様性は認められない。しかし、最近我々は、ペプチド鎖長に多様性があり、また、単純な化学構造であるε-poly-L-lysine(25~35残基)とstreptothricin(ST)のβ-リジンペプチド構造(1~7残基)(図 11A)が、新奇反応メカニズムを有するNRPSによって合成されることを見出した(Nature Chem. Biol., 4, 766–772, 2008; Nature Chem. Biol., 8, 791–797, 2012)。
本講演では、これら新奇NRPSの反応メカニズムについて紹介するとともに、最近我々が見出した新規tRNA依存性ペプチド合成酵素(図 11B)についてもその興味深い反応機構を紹介する(Appl. Environ. Microbiol., 82, 3640–3648, 2016)。
図 1 STのβ-リジンペプチド構造(A)およびグリシン側鎖(B)の生合成メカニズム
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2018年10月16日作成