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第232回定例オープンセミナー
宇宙空間における磁気リコネクション:磁気流体計算が捉えた衝撃波構造
Magnetic reconnection in space: Shocking structures in magnetohydrodynamic simulations

開催日時 2018(平成30)年6月13日(水) 12:30–13:20
開催場所 総合研究実験1号棟5階 HW525
発表者 銭谷誠司 (京都大学生存圏研究所・特任講師/ミッション専攻研究員)
関連ミッション ミッション3 宇宙生存環境
ミッション5 高品位生存圏

要旨

宇宙空間のプラズマの中で磁力線がつなぎ変わる「磁気リコクション」は、太陽フレアやオーロラ・磁気嵐などの現象に直接/間接的に関わっています。これらの現象は、例えば高エネルギー粒子の生成・流入を通じて人類の(宇宙)活動に関わってきますから、磁気リコネクションは人類の生存環境を理解するために重要な物理過程の1つであるとも言えます。一方で、磁気リコネクション自体はたいへん複雑な物理素過程であるため、その性質を理解するために、計算機シミュレーションを活用した研究が進められています。 この講演では、最近、我々が取り組んできた磁気リコネクションの磁気流体(MHD)シミュレーションの結果を概観したいと思います。最初に、理論背景と数値解法、スーパーコンピューターを使った並列計算などを解説します。その後、2つのサイエンスの話題を紹介します。1つめは、磁気リコネクション領域から吹き出すジェットによって、プラズマと磁場がかき集められてできる磁気島(プラズモイド)の構造です。高精度・高解像度のシミュレーションの結果、図 1(2018年版「プラズモイド・ダイアグラム」)にまとられるようなプラズモイドの詳しい構造が明らかになりました。これらの構造の成因を、航空工学や天体ジェットと同じ高速流体力学の視点から解説したいと思います。2つめに、こうしたプラズモイドが大量に出現する乱流型リコネクションの最新のシミュレーション結果に触れたいと思います。また、我々は、これらの研究のために開発したソースコードをOpenMHDと名付けて公開しています。コード公開による派生研究・教育の成果を最後に紹介します。

参考文献

銭谷誠司,衝撃波対応コードを用いた磁気リコネクションの磁気流体シミュレーション研究,生存圏研究,13,27 (2017)

S0232図 1 磁気リコネクションで生成される磁気島(プラズモイド)構造のまとめ図。2018年版。

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2018年6月4日作成,2018年6月12日更新