第228回定例オープンセミナー
生存圏・宇宙天気診断のための歴史文献利用
開催日時 | 2017(平成29)年12月20日(水) 12:30–13:20 |
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開催場所 | 総合研究実験1号棟5階 HW525 |
題目 |
生存圏・宇宙天気診断のための歴史文献利用 To use historical documents as diagnoistic tools of humanosphere and space weahter |
発表者 | 玉澤春史 (京都大学大学院理学研究科附属天文台・博士後期課程) |
関連ミッション |
ミッション3 宇宙生存環境 |
要旨
太陽活動の長期的・短期的変動とその地球・生存圏への影響に関する関心は高まっていますが太陽フレアの観測は約150年,望遠鏡による黒点観測も約400年と,必ずしも十分な年数の観測量があるわけではありません。マウンダー極小期などの太陽活動の長期変動は地球気候と相関があることが長く知られているものの,そのメカニズムや近年の温暖化との関係は明らかになっていません。一方,太陽フレア等の短期変動は人工衛星や送電網など現代文明のインフラに被害を与えることが知られていますが,近年の太陽型恒星におけるスーパーフレアの発見や,放射性同位体の解析による8~10世紀の極端な宇宙線イベントなど,近代観測の開始以降まだ起きていないような極端宇宙天気現象が私たちの太陽で起きる可能性が示唆されています。
観測期間と発生頻度・周期のギャップを埋めるべく,発表者を含むグループはH26年初頭より歴史文献のなかから低緯度オーロラや肉眼黒点の記録を探す研究に着手し,H27年度の生存圏萌芽研究,H28,29年度のミッション研究に申請,採択され,国内外の様々な歴史文献からオーロラ・黒点記録のサーベイし,近代観測以前の太陽活動について新たな知見を得ました。現在では様々な分野・年代の研究者を巻き込んで大きな潮流となりつつあります。
今回の発表では国内外の関連研究動向をみつつ,歴史研究者と自然科学研究者による共同研究のこれまでの成果と今後の展望を語ります。
図 「猿猴庵随観図絵」より1770年に日本で見られた赤色オーロラの様子(国立国会図書館デジタルコレクションより)。当時の人々が見慣れないオーロラに右往左往している様子が見て取れるとともに,低緯度オーロラにも関わらず白い筋を含んだ大規模なイベントであったことが推察される。
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2017年12月12日作成