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第202回定例オープンセミナー資料
自己組織化単分子膜を駆使した機能性金ナノ粒子材料
—リグニン固定化基板の開発に向けて—

開催日時 2015(平成27)年11月25日
題目 自己組織化単分子膜を駆使した機能性金ナノ粒子材料
—リグニン固定化基板の開発に向けて—
Functional gold nanoparticle materials based on self-assembled monolayer —towards lignin-immobilized substrates—
発表者 磯﨑勝弘(京都大学化学研究所・助教)
関連ミッション ミッション 4 (循環型資源・材料開発)

要旨

金ナノ粒子は高い酸化耐性を有する貴金属としての特徴だけでなく,表面の化学修飾の容易さ,局在表面プラズモン共鳴に基づく光特性,種々の化学反応に対する触媒活性を示すことから,最も重要なナノ材料の一つとして多様な分野で利用されている。我々は金ナノ粒子表面の自己組織化単分子膜修飾を基盤とした高機能化金ナノ粒子材料の開発を目的として研究を行ってきた。その過程において,自己組織化単分子膜修飾技術を駆使することで,種々の粒径を有する金ナノ粒子を用いて金ナノ粒子間距離を精密に制御して基板上に配列固定化した金ナノ粒子二次元配列を作製することに成功した。緊密に配列化された金ナノ粒子は光照射により粒子間ギャップにおける局在表面プラズモンの共鳴により多光子励起を誘起することの可能な増強電磁場を生じることが知られている。我々の手法を利用すれば,金ナノ粒子の粒径および粒子間距離を制御することで局在表面プラズモン共鳴波長を可視-近赤外領域において制御することが可能であるだけでなく,大面積基板上にこれらの金ナノ粒子二次元配列を作製することができるため,実スケールでの多光子励起材料としての利用が可能であること明らかにした。具体的には,種々の固体,溶液試料に対して二光子励起過程を経て光反応を誘起することができることを見出した。

また,自己組織化単分子膜は金ナノ粒子表面を完全に被覆することで触媒毒として作用するため,触媒としての利用は注目されてこなかった。既存概念に反し,我々は金ナノ粒子表面の自己組織化単分子膜が分子間相互作用により反応基質を触媒表面に取り込むための反応場として作用することで,シランのアルコホリシス反応に対する金ナノ粒子の触媒活性を著しく向上することを見出した。

本講演ではこれらの自己組織化単分子膜を利用した金ナノ粒子の応用法について紹介する。

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2015年11月9日作成