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第76回定例オープンセミナー資料

開催日時 2008/07/30(水曜日)
題目 重金属蓄積植物分子機構の解明と環境浄化への応用
Heavy metal hyperaccumulating plants — molecular physiology and potential for environmental remediation —
発表者 原田英美子 (京都大学生存圏研究所・ミッション専攻研究員)
関連ミッション ミッション 1 (環境計測・地球再生)

要旨

重金属蓄積植物は、地上部に高濃度で重金属を蓄積する能力を持つ特殊な植物で、重金属汚染土壌でも生育することができる。このような植物は、土壌から効率 的に重金属を除くことができるため、ファイトレメディエーション法に有効と考えられる。重金属蓄積植物の探索は、これまで主にヨーロッパやオセアニアで行 われ、耐性や蓄積性を決定している鍵遺伝子の同定や、植物体内の金属の蓄積部位や化学形態の解明などについても、多角的に研究されている。今回のセミナー では、演者がドイツ滞在中に取り組んでいた、亜鉛(Zn)/カドミウム(Cd)蓄積植物 Arabidopsis halleri に関する研究について紹介するとともに、現在進めている重金属蓄積性の樹木を用いた研究の概要について述べる。

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Fig. 1 ミッションプロジェクトの概要

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Fig. 2 重金属蓄積植物の例

 

Arabidopsis halleri ssp. halleri (右) ヨーロッパ原産の重金属蓄積植物。鉱山跡地などの重金属汚染土壌でも生育することができ、また、Zn/Cd を体内に高濃度で蓄積する。A. halleri は、モデル植物シロイヌナズナ (A. thaliana) の類縁植物である。シロイヌナズナの遺伝子リソースを用いて、A. halleri の遺伝子の発現を調べることにより、重金属耐性や蓄積性に関与する遺伝子がつきとめられている。 左は、日本産の類縁種(亜種)とされているハクサンハタザオ (A. halleri ssp. gemmifera)。