◆京 都◆気球打ち上げ、成層圏観測


◆京 都◆気球打ち上げ、成層圏観測

 夜更けの空に気球がゆらゆらと上がっていく。地球温暖化の原因となる二酸化炭素や、オゾン層を破壊するフロンガスが拡散するメカニズムを探るため、京都大宙空電波科学研究センターとフランス国立宇宙研究センター(CNES)が京都府京田辺市で、成層圏の観測を続けている。

 高さ一万五千―五万メートルの成層圏では、大気が不規則に動いている「乱流」と、安定した気流が層状に重なっている。温室効果ガスや大気汚染物質は、乱流層で水平方向に広がるが、異なる層の間を垂直方向にどのように拡散するかはよくわかっていない。

 CNESの開発した気球(直径二メートル)は、十センチ上がるたびに温度センサーで気温を測りながら高度二万五千メートルまで上昇。約三十キロ離れた滋賀県信楽町にある京大の大型レーダーが観測した風力、風向など大気のデータと照合して乱流の構造を解析する。

 太陽熱の影響を避けるため、晴れた日の深夜を選んで五月末までに十個の気球を上げる予定。山本衛・京大宙空電波科学研究センター助教授は「仕組みがわかれば、汚染物質が広がる時間の計算や発生場所の特定を行うモデルの作成に役立つだろう」と期待している。

 写真=温度センサーを付けた気球を打ち上げるスタッフ(22日午前0時15分、京都府京田辺市で)


読売新聞社 5月22日(月曜) 付け ホームページより抜粋。