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生存圏フォーラム第50回連載コラム

  2019年4月1日11時過ぎ、私は福井県勝山市にある恐竜博物館にいた。
保育園のお散歩でも、ひたすら恐竜の骨と歯を捜して歩き回るほど、恐竜を愛してやまない我が家の4歳の息子が興奮した面持ちで、「ブラキオサウルスやなんたらサウルスはな、宇宙から隕石が落ちてきて絶滅してん!」とか、「急に地球が寒くなったからなー」「宇宙線がなー」と、図鑑うけうりの絶滅原因を次から次に話すのを聞いていたら、
「新元号が令和(れいわ)と決まりました」との館内放送があった。
  仕事柄、古い時代の元号を見ることが多いからか、一瞬、隕石を見上げる恐竜と、古い時代の貴族や仏像の絵が脳裏に浮かんだ私は、薄暗い博物館の中で、恐竜が生きていた時代の地球や宇宙の様子に思いをはせながらこれからはじまるフレッシュな新元号の世界への希望と期待を胸に抱き、その後も息子の「アンモナイトにはな、僕よりも大きいのがな・・・」の演説に付きあい続けた。
  恐竜がいた時代も、これからくる令和の未来も、生存圏すなわち生物の生存に必要な空間である生活圏、大気圏、森林圏、宇宙圏、の相互作用が存在するのであり、その理解と問題解決にむけた新しい学問の進展がますます望まれている。
万葉集の歌に由来して元号が令和に決まったことについて首相が、「厳しい寒さの後に春の訪れを告げ、見事に咲き誇る梅の花のように、一人ひとりの日本人が明日への希望と共にそれぞれの花を大きく咲かせることができる、そうした日本でありたい」、といった内容の話をされていたが、我々が邁進している生存圏研究がその一助となればと切に願う。

(生存圏フォーラム会員 生存圏研究所 S.T.)