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2006(平成18)年度萌芽ミッションプロジェクト 8

研究課題

レーザー干渉方式高精度衛星重力ミッションによる陸水・土壌水分モニターの可能性に関する研究

研究組織

代表

福田洋一 (理学研究科)

共同研究者

研究概要

衛星で地球の重力を測るというアイデアそのものは古くからあるが、それが現実のものとなったのは 21 世紀に入ってからで、特に、2002 年 3 月に打上げられた米国とドイツのジョイント・ミッションである GRACE (Gravity Recovery and Climate Experiment) では、全球的な重力の時間的変化を、約 1 000 km の空間分解、約 30 日程度の時間分解能で観測することができ、広域な重力変化の研究に大きく寄与している。

GRACE による重力場の測定には、Low Low Satellite to Satellite Tracking (L-L SST) と呼ばれる方法が用いられている。L-L SST では,低高度 (400–500 km) の同一軌道に 2 つの衛星を数 100 km の間隔で打ち上げ、マイクロ波レーダーによる距離測定により、互いの衛星間距離の時間変化 (range rate)、すなわち速度の測定を行う。この時、エネルギー保存則により、重力ポテンシャル V による位置エネルギーと運動エネルギーとの和は一定であるので、速度変化を測定することで、結果として重力場の変化を測定することができる。一方、GRACE の後継、GRACE-FO (Follow On) としては、衛星間の距離測定にレーザー干渉測距を用いた SSI (Satellite to Satellite Interferometry) が検討されている。SSI では、GRACE より 2~3 桁感度が向上するといわれている。本研究では、陸水・土壌水分のモニターを想定し、GRACE-FO が実現した場合、どの程度の精度・空間分解能が得られるかについて、実際の GRACE のデータ処理に沿った形でのシミュレーションを実施し、その応用の可能性について検討した。