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2006(平成18)年度萌芽ミッションプロジェクト 6

研究課題

生存圏科学における放射性炭素 14 利用の可能性

研究組織

代表

陀安一郎 (生態学研究センター)

共同研究者

研究概要

大気中に存在する天然の放射性炭素 14 (14C)は、宇宙線起源の連鎖反応により成層圏で生成したものが大気中に拡散したものであり、その生成過程では太陽圏磁場の影響を受けている。一方、その消失過程は一次反応で記述されるため、地球上の炭素循環の側面からみると、時間の関数として与えられる。これらのことから、14C 研究は地球の生命圏を横断する生存圏科学として考えることができる。本研究は、生態学の観点からこの 14C 値の利用可能性についての検討を行なったものである。まず、Tayasu et al. や Hyodo et al. が行なった先駆的研究を発展させ、陸上生態系において 14C 値が分解者による分解過程を反映するパラメータであることを示した。これにより、Tayasu et al. によって提唱された、δ15N を用いた分解過程の記述方法の有効性を検証することとなった。また、14C 値を用いた研究を水域生態系にも応用する試みも行なった。琵琶湖流入河川の食物網構造に応用することにより、陸上生態系・水域生態系を通して 14C を用いた研究のもつ可能性を示唆することが出来た。