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第279回生存圏シンポジウム
(第5回生存圏熱帯人工林フラッグシップシンポジウム)
熱帯バイオマスの持続的生産利用
—荒廃草原の利用とバイオマス生産利用—

日時・場所

日時: 2015(平成27)年3月26日 (木) 13:00–17:30
場所: 京都大学宇治おうばくプラザ  セミナー室4、5
主催者: 京都大学生存圏研究所
申請代表者: 梅澤俊明 (京都大学生存圏研究所森林代謝機能化学分野)

関連ミッション

関連分野

木質および生物資源利用に関連する全研究分野。

目的と具体的な内容

熱帯・亜熱帯地域には、過去の天然林伐採によって発生した利用困難な土地(アランアラン、チガヤ草原)が広がっている。これらの土地は、日本の国土面積の数倍以上に達している。もし、この地域にバイオマス生産性の高いエリアンサスなどのイネ科植物を栽培すると、年間の原油消費量(41 億トン/年)に相当するバイオマスを生産可能である。このバイオマス中に含まれるリグニンの 8 割を使って、化学製品の元となっている原油からのナフサ(6.2 億トン/年)に相当する芳香族環化合物を得る事ができる。残りのリグニンから、燃料電池車に必要な水素の十分量を得る事も可能である。

本シンポジウムでは、熱帯地域でのバイオマス生産や熱帯バイオマス植物の育種から、リグニン由来の低分子芳香族環化合物の製造を俯瞰的に捉え、化石資源に依存しない再生可能な炭素/エネルギー循環社会の実現に向けた研究開発について議論する。

生存圏科学の発展や関連コミュニティの形成への貢献

化石資源の大量使用に基づく急激な地球環境の悪化や化石資源の枯渇予想により、エネルギー・食糧・工業原材料の供給を、環境保全及び経済成長との折り合いのもとに達成する方策の確立が今後の人類の生存に必須となっている。バイオマスの生産から変換利用までにはさまざまな課題があり、これらの諸課題を統括的かつ個別進化的に解決することは、まさに生存圏科学の中心的課題であると考えられる。本シンポジウムは、当研究所における従来の熱帯人工林に関する多面的研究に加え、熱帯地域の荒廃草原の植生回復と持続的バイオマス生産、及び内外の熱帯草本バイオマス植物の持続的生産利用に向けた研究・技術開発を総合的に俯瞰し、所外との共同研究の一層の活性化を果たすものであり、生存圏科学の確立にむけた当研究所の活動の基盤となるものである。

プログラム

12:30開場
13:00–13:10開会挨拶
京都大学生存圏研究所 梅澤俊明
 
1. イネ科熱帯バイオマス植物の特性と育種
(座長: 京都大学大学院農学研究科 小林優)
13:10–13:40チガヤの生活史特性と日本における生態型分化
京都大学大学院農学研究科 冨永達
13:40–14:20ソルガムの特性を活用した事業展開と高速育種
(株)アースノート研究開発室 小柴太一
14:20–14:50ソルガムの分子育種
農業生物資源研究所 萩尾高志
 
14:50–15:10休憩
 
2. イネ科バイオマス植物の特性と変換利用
(座長: 京都大学生存圏研究所 飛松裕基)
15:10–15:40エリアンサスの化学構造特性
京都大学生存圏研究所 山村正臣、梅澤俊明
15:40–16:10リグニン系芳香族化合物の変換過程の網羅解析
かずさDNA研究所バイオ研究開発部 佐藤大
かずさDNA研究所バイオ研究開発部、京都大学大学院農学研究科 柴田大輔
16:10–16:40ソルガムバガスを原料に用いたパーティクルボードの試作
京都大学生存圏研究所 Sukma Surya Kusumah、梅村研二
16:40–17:10草本資源作物の実用化研究の現状と展望 —エリアンサス、ススキ、ソルガム—
九州沖縄農業研究センター 我有満、上床修弘
 
17:10–17:25総合討論
17:25–17:30閉会挨拶
かずさDNA研究所・京都大学大学院農学研究科 柴田大輔

Symposium-0279ポスター PDF ファイル (939 931 バイト)
ポスター制作: 梅澤俊明 (京都大学生存圏研究所)