・エネルギー収支の確率的変動に基づく生存圏リスク評価の数理モデル開発
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本研究では、金融工学や災害工学などで既に一般的に利用されている
リスク評価・マネジメントの手法を活用する。生存圏を構成する各独立
相内部の詳細な物理・化学・生物過程をまずはブラックボックスとして
扱い、アンサンブル平均としての量(汎地球的な地磁気変動、世界の平
均気温、排出されるCO2量、など)を生存圏状態パラメータとし
て抽出する。マクロパラメータは長期間(年単位)の変動で見ると、太
陽活動周期のようなトレンド性とノイズ的な確率変動の混合状態にあ
る。そこで取得したパラメータデータセットに通常の統計処理に加えて
極値統計などの技術も適用し、また別の要素との相関を取るなどして、
現時点で置かれている状況の定量評価を行う。 更にここで得られるマクロ生存圏の面しているリスク評価値を将来に おけるリスク変動パラメータとして確率過程に組み込み、長期予測モデ ルの開発に着手する。これは数学的には確率微分方程式に帰着されるも のであり、数値的に解析するためのアルゴリズムの作成を含む。最終的 に、方程式系の解のセットから「生存圏パラメータ」と言える指数を創 出し、その物理的な妥当性を検証する。 |