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第284回定例オープンセミナー
木質バイオマスの分子構造にみる循環型社会へのアプローチ

更新日: 2022/07/06

開催日時 2022(令和4)年7月13日(水) 12:30–13:20
開催場所 オンライン(Zoom)
発表者 西村裕志(京都大学生存圏研究所生存圏未来開拓研究センター・特定准教授)
関連ミッション ミッション2 太陽エネルギー変換・高度利用
ミッション5 高品位生存圏

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https://forms.gle/egT6XWjo8yA4Gpt89
ご登録ができない方は、ご所属、お名前、連絡先等記してメールにてお問い合わせください。
オープンセミナー事務局: openseminar@rish.kyoto-u.ac.jp
開催日当日午前10時までにご連絡ください。

要旨

森林生態系では、樹木や微生物の進化とともに調和のとれた循環サイクルが形成されている。持続性ある豊かな未来への本質的な解決策は、自然の現象を解き明かし、バイオマス分子のもつ潜在力を引き出すことにある(図1)。

植物バイオマスを構成する高分子は、リグノセルロースと呼ばれ、主にリグニン、ヘミセルロース、セルロースからなる。リグニンは難分解性の不定形芳香族高分子とされ、リグニンの分離・分解がバイオマス変換におけるボトルネックである。

自然界において、リグノセルロースは微生物によって分解される。高分子リグニンを直接分解可能な微生物は白色腐朽菌として知られ、菌が分泌する分解酵素や二次代謝物を介してリグニンを溶かし分解する。産業界では、製紙産業におけるパルプ化法が主に行われ、高温高圧下での過酷な反応条件を経て、リグニンを分解、除去し、主にセルロースからなるパルプを得る。このとき、リグニンやヘミセルロースは、分解・変性し天然分子としての原型を留めない。

リグニンと多糖間に存在する共有結合を把握することは、リグノセルロース変換反応設計の点からも、植物科学の基盤的知見としても重要である。リグニン-多糖間結合はポリマーの主鎖に対してごく僅かであり、変性を防ぎつつ結合点を濃縮し解析する必要がある。私たちは、多次元溶液NMR法を駆使して、スピン結合の繋がりとして、リグニン-多糖間結合の解明に成功した。こうした知見を背景に、温和な条件の木質バイオマス変換法を開発しており、リグニンを含めた天然高分子の特性を活かすための研究を進めている。

Seminar-0284_Nishimura図1:植物バイオマスの分子構造を活かした循環サイクルの概念図。木質細胞壁を構成する天然高分子の潜在力を引き出した展開が重要である。

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2022年7月6日作成

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