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2016(平成28) 年度 生存圏科学 ミッション研究 18

更新日: 2016/08/31

研究課題

Phytobiome研究でわかる農生態圏の管理体系

研究組織

 代表者 高林純示(京都大学生態学研究センター)
 共同研究者 塩尻かおり(龍谷大学農学部)
杉山暁史(京都大学生存圏研究所)
雅之(龍谷大学科学技術共同研究センター)
斉藤大樹(京都大学大学院農学研究科)
下野嘉子(京都大学大学院農学研究科)
幹(立命館大学生命科学部)
荒木希和子(立命館大学生命科学部)
松井健二(山口大学大学院創成科学研究科)
金谷重彦(奈良先端科学技術大学院大学)
西條雄介(奈良先端科学技術大学院大学)
関連ミッション
  • ミッション1 環境診断・循環機能制御
  • ミッション2 太陽エネルギー変換・高度利用
  • ミッション4 循環材料・環境共生システム

研究概要

本研究は、水田およびその周辺環境に注目しつつ、水田における(1)地上部、地下部の相互作用の生態学的解析、(2)地上部と地下部の動態を媒介する生態情報化学物質の解析、および(3)農地診断技術の構築に向けたデータ解析、の3研究項目を実施する。各研究項目における研究計画・方法は以下の通りである。研究実施場所は50年以上無施肥無農薬水田(京都市小倉)およびそれに隣接する慣行防除水田である。

(1)地上部、地下部の相互作用の生態学的解析

害虫や天敵、雑草といった地上部生物群衆で構成される相互作用ネットワークと地下部の微生物群集の動態との関連性を解明する。2小課題からなる。

(A) 地下部の微生物群集の動態:地下部の構造(土壌微生物群集)をメタゲノム解析、SOFIX解析(http://sofixagri.com)し、地下部が地上部の動態(植物-害虫-天敵相互作用)に与える影響を解析する。水田の地下部微生物群集の頑健性・可塑性解析をアブラナ科モデル植物を用い、実験室内操作実験で解明していく。

(B) 地上部の生物群集の動態:地上部の構成(作物品種や周辺雑草、昆虫相)を時系列解析する。地上部が地下部(土壌微生物群集)へ与える影響を、定期的な野外調査と時系列解析より求める。地上部の生物群集動態と地下部の生物群集動態との連鎖は、さらに中課題2で実施するシグナル物質解析と合わせて時系列解析する。

野外調査におけるサンプリング法や土壌サンプルの解析について、標準化と最適化を行う。様々な農法が実践される農地に適用可能な基礎調査技術の確立を目指す。

(2)地上部と地下部生態情報化学物質の解析

地上部と地下部のネットワークを駆動する情報化学物質に関する網羅的解析を、時系列を視野に入れて行う。

(A) 不揮発性生態情報化学物質の機能解析:根内・根圏での微生物と植物の共生ネットワークは情報化学物質の交換により確立されている。地下部を大きな生物システムと捉え、その中での代謝物のメタボローム解析による時系列的動向を把握する。

(B)揮発性生態情報化学物質の機能解析:地上部における生物間の相互作用ネットワークを駆動する主要な要因は、植物由来の揮発性の生態情報化学物質である。(1)-(A)で検出される生物間相互作用を駆動する要因解明を、微量な揮発性物質のブレンドを、揮発物質分析専用ガスクロマトグラフ質量分析計で解析する。

得られたデータを中課題1にフィードバックし、有機的な連携体制で進める。得られたデータの時系列解析は(3)で実施する。

(3)地上部・地下部情報の集約と農地診断技術の基盤構築

本中課題では,研究項目(1)および(2)から得られた時系列データを用いて農業生態系の地上部と地下部の連鎖構造を明らかにし、農地生態系の将来予測を行うための理論的枠組み及びデータベースの構築を目指す。

中課題1, 2によって、地上部、地下部の生物群集及び環境条件、関与する生態情報化学物質に関する時系列データが得られる。データから、各変数間(生物種の個体数、気温、土壌栄養塩量等)の連鎖関係を検出する。

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2016年8月5日作成

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