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2011(平成23) 年度 生存圏科学 ミッション研究 21

更新日: 2017/09/21

研究課題

木質パルプのナノファイバー化によるアルカリ可溶化とその総合利用

研究組織

 代表者 山根千弘 (神戸女子大学家政学部)
 共同研究者 阿部賢太郎 (京都大学生存圏研究所)
浅見孝志 (オーミケンシ株式会社研究所)
上田一義 (横浜国立大学工学研究科)
関連ミッション
  • ミッション 4 (循環型資源・材料開発)

研究概要

再生セルロースは木質パルプ(一部コットンリンター)を溶剤に一旦溶かした後、所定の形状に沈殿させたもので、衣料用繊維(レーヨン、キュプラ)、フィルム(セロファン)、人工腎臓用透析膜、血漿製剤製造用ウィルス除去膜などに使われている。しかし、溶剤として二硫化炭素、銅アンモニア、メチルモルホリンオキサイドなどが使用されており、それらの排出に伴う環境負荷、回収のための高コスト、爆発の危険性などから、再生セルロースの用途が大きく広がることはなかった。

このような状況の中、木質パルプをナノファイバー化することにより、セルロースが水酸化ナトリウム水溶液に可溶化することが見出された。これにより、長年にわたる再生セルロースの本質的課題が完全に解決される可能性がある。さらに、この方法で得られた再生セルロースの結晶性、分子内水素結合性は高く、今までの再生セルロースの利用分野以外に広く展開できる可能性もある。加えて、水酸化ナトリウムは食品の加工に使用しても良い薬品なので、得られた再生セルロースは食品としても展開可能である。これは世界で初めての可食性セルロース成型体といえる。ナノファイバー化によるアルカリ可溶セルロースの総合利用の課題は、それぞれの用途に応じた性能を確保するための、構造制御技術である。

本研究は、ナノファイバーの構造とアルカリ溶解性の関連をつかみ、セルロース/水酸化ナトリウム水溶液からのセルロース構造形成機構(結晶化機構)を明らかにし、構造制御技術を構築することにより、極めてシンプルで環境にやさしいプロセスで、セルロース成型体を調製し、新しい再生セルロース産業を構築するとともに、木質資源の新しい有効利用分野を提供することを目的としている。

山根千弘: 2011(平成23)年度 生存圏ミッション研究 図 1図 1 アルカリ可溶セルロースからの織物(従来品の代替)

山根千弘: 2011(平成23)年度 生存圏ミッション研究 図 2図 2 アルカリ可溶セルロースからの食品材料(従来では出来なかったもの)
上段: セルローススリーム(油脂代替)
下段: セルロースパン

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2011年8月3日作成

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