Research Institute for Sustainable Humanosphere

共同研究

2014(平成26) 年度 生存圏科学 萌芽研究 2

研究課題

樹木が創る高分子構造を活かした複合材料の開発

研究組織

 代表者 石倉由紀子 (北海道立総合研究機構林産試験場)
 共同研究者 阿部賢太郎 (京都大学生存圏研究所)

研究概要

樹木は、地球上に豊富に存在する再生可能な資源であり、古くから木材やパルプ原料等として広く使用されている。また、近年、樹木を形成する主要な高分子であるセルロースミクロフィブリルは、その優れた力学的性能を活かし、繊維強化プラスチックのフィラー等、ナノセルロース材料としての利用が検討されており、地球環境負荷が少なく、かつ、将来的にも多くの可能性を有する資源として注目されている。

セルロースミクロフィブリルは、単糖(グルコース)が、鎖状に β-1,4 結合したセルロース分子鎖からなる結晶性の高分子であり、樹木が創り出す高分子構造により、分子鎖方向に非常に高い弾性と強度を有する優れた力学的性質を発現する。

樹木の木部細胞壁は、いくつかの ‘壁層(一次壁、二次壁外層・中層・内層)’ からなり、細胞壁の壁層は、さらに、セルロースミクロフィブリルが一定方向に配向してリグニンやヘミセルロースに埋め込まれたたくさんの ‘薄い層(ラメラ)’ によって形成されている。

樹木の木部細胞は、‘ラメラ’ が幾重にも重なり、‘壁層’ ごとにセルロースミクロフィブリルが異なる角度でらせん状に配向した、チューブ状の構造を形成しており、複雑な多層構造を形成することで、長い時間をかけて大きく成長する樹木を支えている。

しかしながら、ナノセルロース材料等の原料として樹木からセルロースミクロフィブリルを取り出すためには、複雑かつ強固な木部の多層構造を壊し、細胞壁に配向しているセルロースミクロフィブリルを解きほぐす必要が生じる。そのため、樹木から得られるセルロースミクロフィブリルは、力学的性質の発現に重要な高分子構造の変化を生じることが多く、樹木が創る高分子の優れた構造と特性を最大限に活かすことが難しい。

そこで、本研究では、木部細胞の多層構造を穏やかに解きほぐすことで、樹木が形成する優れた高分子構造をそのままに、細胞壁に存在する高分子の力学的性質を最大限に活かした、より高強度な材料を得る手法を見出すことを目指す。

本研究により、再生可能な資源である樹木の木部構造とその特性を理解することで、樹木が形成する優れた高分子構造を活かしたより高強度な高分子材料が得られることから、持続的・循環型生存圏の構築に貢献することが期待される。

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2014年7月29日作成

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