Research Institute for Sustainable Humanosphere

共同研究

2013(平成25) 年度 生存圏科学 萌芽研究 3

研究課題

熱帯泥炭湿地の炭素循環解明のための溶存有機物の構造解析の活用

研究組織

 代表者 伊藤雅之 (京都大学東南アジア研究所)
 共同研究者 西村裕志 (京都大学生存圏研究所)
治 (京都大学東南アジア研究所)
Kok-Boon Neoh (京都大学東南アジア研究所)

研究概要

東南アジア、特にインドネシアに多く存在する熱帯泥炭土壌では、2000 万 ha という広大な面積に大量の炭素を蓄積しているが、近年の火災による焼失により、全球規模の温室効果ガス動態に影響を与える二酸化炭素放出が生じている。また、元来の森林植生が伐採され裸地化や人工林化が進んでいる。インドネシアの場合 1990 年から 2005 年の 15 年間でスマトラ島とカリマンタン島の低地林の 40 % 以上が伐採され(Hansen et al., 2009)、同期間で天然林は 31 % 減少する一方、生産林は 54 % 増加した。特にパルプの原料等に利用される早生樹のアカシア林やオイルパーム園では、土壌環境の変化は著しい。

泥炭湿地林の保全や将来的な変化の予測のためには、これらの環境へのインパクトが泥炭地の物質循環機構に及ぼす影響を精密な現地観測に基づいて評価する必要がある。熱帯泥炭湿地の保全と将来的な生態系管理手法提言の根拠となる情報を得るために、土壌圏・水圏を総合的に見た物質動態の人為的環境改変に対する応答を明らかにすることが重要となる。

泥炭湿地林土壌の環境変化は、有機物分解やその後の生物地球化学的な反応過程などを通じて、水系を通じた炭素・窒素等の流出、土壌中の温室効果ガスの生成/消費に影響する。多量の炭素を蓄積する泥炭林の物質循環は全球の物質循環にも大きな影響を与えるため、熱帯泥炭地から生じる有機物がどのような形態・構成・構造を持つのかを明らかにすることで、
1)森林火災や人工林化等の環境変化が有機物の特徴に影響にするのか、
2)もし影響するならばその違いが有機物分解速度等の炭素循環に関するパラメータに影響するのか、あるいは
3)どのような形態でこれら有機物が河川等を通じて下流生態系に流出するのか、
等の未解明かつ知見の蓄積が必要とされる課題の解明に大きく貢献する可能性をもっている。

本課題では、上記の目的の達成のために、有機物構造解析と炭素の安定同位体情報を用いて熱帯泥炭生態系の炭素循環機構とその環境変動に対する応答を明らかにする。

伊藤雅之: 20123(平成25)年度 生存圏科学萌芽研究 写真 1写真 1 泥炭林、二次林の様子

伊藤雅之: 20123(平成25)年度 生存圏科学萌芽研究 写真 2写真 2 伐採、火災の影響で荒廃した泥炭林

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2013年7月26日作成

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