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トマトのトマチンによる根圏細菌叢の制御 −トマト苦味・有毒物質の根圏での新しい機能− (杉山暁史准教授ら共同研究)

杉山暁史 生存圏研究所准教授、中安大 同特任助教、大野滉平 農学研究科修士課程学生、高松恭子 同修士課程学生、青木裕一 東北大学助教、山﨑真一 同研究員らの研究グループは、水耕栽培と圃場栽培の両条件でトマトが根からトマチンを分泌することを示しました。
また、トマチンを人工的に与えた土壌の細菌叢は非添加土壌のものと異なり、多くの細菌の分類群が影響を受けました。そのうちスフィンゴモナス科はトマチンを添加した土壌とトマト根圏で共通して増加しました。トマチン低生産変異体jre4-1の根においてスフィンゴモナス科の特定のグループの存在量は野生型よりも少ないことが明らかになりました。
トマチンはサポニンの一種であり、トマトが生産する主な植物特化代謝物として植物体全体に蓄積しています。トマチンは苦味・有毒物質であるため、病原菌や捕食者からの防御に関わることが知られていました。

本研究によって、トマト根から分泌されるトマチンが根圏細菌叢を変化させ、スフィンゴモナス科を増加させる機能を持つことを新たに見出しました。スフィンゴモナス科の中には、植物の病害抑制効果や生長促進効果を示す菌株がこれまでに報告されています。この研究成果は、サポニンを活かしたスフィンゴモナス科の微生物資材としての利用が幅広い作物の生育向上をもたらす可能性を示唆します。

本研究成果は、2021年2月23日に、国際学術誌「Plant Physiology」のオンライン版に掲載されました。

図:本研究の概要図

 

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