menu

生存圏フォーラム第43回連載コラム

お客様は神様 なのか?
フランス滞在中の話である。ご多分にもれず海外滞在中にカルチャーショックを受けたという話だが、印象が強烈だったのでご紹介したい。レストランで隣のテーブルのフランス人がクレープを注文したのだが、どうも頼んだものと違うものが来たらしい。で早速「私が頼んだのは卵入りのクレープよ」みたいなことを言っていた。すると店員が一言、
「あんた食ったんじゃないの?」。
お店での話に限らず、フランスの居心地の良さは人と人の付き合いが対等であるからと普段から感じていて、客と店員の関係も「お客様は神様です」的なことは全くなかったのだが、さすがにこれには驚いた。客のフランス人もさすがにその一言には驚いた様子だったので、フランスの名誉のためにもこれはフランス標準ではないと思っているが、こんなことがありうるフランスと、店員が横柄な客にもヘコヘコしなければならない日本、どちらが良いのかなあと真剣に考えたものである。ちなみに私はフランス派です。「食ったんじゃないの?」って言われたら全力で否定しますが。

(生存圏フォーラム会員 京都大学准教授 T. I. )