研究内容

プレニル化酵素遺伝子を用いた有用物質生産

 ポリフェノールは植物に広く含まれる二次代謝産物です。近年、ポリフェノールの持つ動脈硬化防止や高血圧の予防、抗腫瘍作用等の生理活性に注目が集まり、機能性食品やサプリメントの成分として産業界で広く利用されています。植物が生合成するポリフェノールには、プレニル化や配糖化、メチル化されたものが多くありますが、それらは母核化合物にはない高い生理活性を有することもしばしばあります。特に、プレニル基を有するポリフェノールは多様な生理活性を有することが知られています。私たちはプレニル化酵素遺伝子を同定しましたので、その応用化をめざし、有用物質生産に取り組んでいます。2007~2011年度まで経済産業省の「植物機能を活用した高度モノ作り基盤技術開発/植物利用高付加価値物質製造基盤技術開発」プロジェクトの一環として、プレニルトランスフェラーゼ遺伝子を利用した有用成分の生産技術の研究開発を行いました。その成果は、論文(Koeduka et al. 2011, Sugiyama et al. 2012など)をご参照ください。現在では、さらなる生産量の向上を目指して、生合成・輸送蓄積の両面から研究を続けています。プレニル化ポリフェノールは産業界で幅広い利用価値のある植物代謝産物ですので、植物を用いた環境負荷の低い生産方法により、安定したプレニル化ポリフェノールの供給系を確立したいと考えています。