津田研究室が取り組んでいる研究についてご説明します。
気候変動は、木の成長への影響を通して年輪に刻まれます。当研究所の農・工・理学の知識を融合させて、年輪から気候変動シグナルを読み取るための画像処理法を開発しています。
多雨・少雨、高温・低温など年毎の変動により、毎年の木の生長は少しづつ違います。 それが年輪の幅として木に記録されます。このことを生かして文化財等の年代を調べる年輪年代学が広く行われています。さらに、年輪を解析すれば、それをもたらした過去の気候状態を調べることができます。
当研究室では、これまであまり行われていない熱帯の樹木を用いた年輪気候学に取り組んでいます。
赤道域では春夏秋冬のサイクルがないため、一般に年輪は出来にくいのですが、乾季・雨季のサイクルにより年輪(のようなもの)が作られる木は多くあります。
熱帯樹は一般に年輪の境界がはっきりしません。また、同心円からのずれも大きく、中心から線を引いてサンプルする輝度測定も必ずしも良くありません。そこで、当研究室では年輪抽出のためのアルゴリズムを工夫し、また距離でなく面積をベースにした測定法を開発しました。
多数の断面を用いて信頼度の高い推定を行うため、画像処理の自動化を進めています。
本研究テーマは新しく、すべてが現在進行形です。
インドネシア科学院生物材料研究所と共同で、現在多量の木材サンプルを集めています。画像処理法の更なる自動化と高精度化を進めています。
熱帯の年輪気候学を開拓中です。