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第405回生存圏シンポジウム
太陽地球系物理学分野のデータ解析手法、ツールの理解と応用

更新日: 2021/04/23

開催日時 2019(令和元)年9月12日(木)13:00~13日(金)16:10
開催場所 京都大学宇治キャンパス 総合研究実験1号棟HW525(9月12日)、
木質ホール3階(9月13日)
主催者 田中良昌 (国立極地研究所)
申請代表者 田中良昌 (国立極地研究所)
所内担当者 山本衛 (京都大学生存圏研究所レーダー大気圏科学分野)
関連ミッション ミッション1 環境診断・循環機能制御
ミッション3 宇宙生存環境
関連分野 太陽地球系物理学、地球惑星電磁気学、情報科学。

令和元年度「STE現象報告会」・「MTI研究集会」・「宇宙空間からの地球超高層大気観測に関する研究会」・「太陽地球系物理学分野のデータ解析手法、ツールの理解と応用」合同研究集会プログラム(宇治キャンパス建物配置図付きPDFファイル,1 419 108バイト)

概要

本研究会では、太陽地球系物理学分野の研究者・学生、データ所有者、データベース・解析ツール開発者等が集まり、各々の研究の紹介・議論を通じて、各自の研究に最適な解析方法を見出すと共に、総合解析、物理現象の理解、成果創出への最適な道筋を構築する。また、解析ツールを用いたデータ解析講習会を開催し、学生・若手研究者が主体的にデータ解析手法やそのツールの使い方を学べる場を提供する。

目的と具体的な内容

本年度は、関連した「STE現象報告会」、「MTI研究集会」、「宇宙空間からの地球超高層大気観測に関する研究会」の3つの研究集会と合同で開催し、且つ、「第13回MUレーダー・赤道大気レーダーシンポジウム」と同時期に同機関で開催することにより、参加者の増加、経費削減を図った。また、我々の研究集会「太陽地球系物理学分野のデータ解析手法、ツールの理解と応用」では、上記研究集会の参加者が主に利用している太陽地球系物理学分野のデータ解析手法、ツールに焦点を当てて講演・議論をし、各自の研究に最適な解析方法の発見、研究フローの構築、高度な研究成果の創出に繋げることで、高い相乗効果が得ることを狙った。今回は、特に、各研究集会の世話人の間で調整し、なるべく多くの学生や若手研究者に講演の機会を提供できるように企画した。

9月12日午後には、本分野で広く利用されているデータ解析ソフトウェア「Interactive Data Language (IDL)」の講習会、並びに、そのIDLをベースとした超高層大気データの統合解析ツール「SPEDAS」の講習会を開催し、学生、若手研究者25名が参加した。講習では、参加者がノートPCを持参し、解析ソフトウェアを使った基礎的なデータ解析を行った。前半のIDL基礎講習では、Harris Geospatial株式会社の現役エンジニアの方に講習を依頼し、IDL初心者のための基礎的な使い方だけでなく、経験者にとっても役に立つ情報を提供していただいた。後半のSPEDAS講習では、超高層大気データのロード、プロットといった基本操作に加えて、データ解析の前処理やフィルター、周波数解析等、実際の研究で利用頻度の高い解析手法を重点的に体験していただいた。

9月13日には、口頭セッションが開催され、30名が参加者した。セッションでは、学生・若手研究者を中心に、12件の講演が為された(予定していた13件のうち、1件がキャンセルとなった)。講演では、人工衛星・地上観測データの比較解析、観測・シミュレーションデータの比較解析、画像解析、地磁気モデル計算、レーダーデータ信号処理、周波数解析、画像や時系列データからの現象の自動検出等、様々な解析手法が紹介された。また、それぞれの解析方法の問題点や利用範囲、各自の研究で直面している課題とその解決策についても議論された。講演時間が限られていたため、議論の時間は十分とまでは言えなかったが、お互いの研究内容や進捗についての情報交換ができ、今後の継続的な議論、共同研究への発展等が期待できる。9月11日午後には、合同ポスター発表も為された。

研究集会の講演資料はウェブサイトで公開している(http://www.iugonet.org/workshop/20190912)。

生存圏科学の発展や関連コミュニティの形成への貢献

本研究集会では、太陽地球系物理学分野の複数の領域の研究者や学生、データ所有者、データベース・解析ツール開発者が参加し、様々なデータ解析手法、解析ツールを利用した研究についての講演が多数行われた。これらの領域は、人類の生存環境である大気圏と宇宙圏との境界にあたり、生存圏研究所が推進している「環境診断・循環機能制御」と「宇宙生存環境」のミッションに密接に関連している。今回の研究集会では、これらの領域で一般的に利用されている解析手法、ツールに焦点を絞った。これにより、研究成果の高度化、領域を跨ぐ共同研究への発展に繋がることが期待される。

また、9月12日午後(13:00–17:00)に開催したデータ解析講習では、京大生存圏研究所も参加している大学間連携プロジェクト「IUGONET」により開発されたウェブツール「IUGONET Type-A」、解析ツール「SPEDAS」を実際に活用したデータ解析を実施し、学生、若手研究者の育成に貢献できた。これらのツールは、生存圏データベースに登録されている信楽MUレーダーや赤道大気レーダーを含む、超高層大気データの総合解析に広く利用されており、日本のみならず、インドネシアやインド等の学生、研究者によるデータ利用の促進、共同研究の発展に貢献するものである。また、これらのツールや解析手法は、将来的に、生存圏研究所が主導している日本学術会議の学術大型研究計画に関するマスタープラン2014・2017の「太陽地球系結合過程の研究基盤形成(https://www.rish.kyoto-u.ac.jp/masterplan2017/)」で取得される観測データにも応用可能であり、生存圏科学の発展、国際ネットワーク構築への貢献が期待できる。

プログラム

9月12日(木)@総合研究実験1号棟HW525

  データ解析セッション
13:00–14:45 IDL基礎講習
講師:生駒舞子(Harris Geospatial 株式会社大阪オフィス)
IDL応用講習
個別講習(希望者)
14:45–15:00 休憩
15:00–17:00 SPEDAS基礎講習
講師:田中良昌(極地研)
※Zoomによる視聴可能
Zoom URL: https://zoom.us/j/316162279
SPEDAS応用講習
個別講習(希望者)

9月13日(金)@木質ホール

座長:梅村宜生(名大ISEE)

  口頭セッション
09:55-10:00 趣旨説明
田中良昌(極地研)
  座長:田中良昌(極地研)
10:00–10:20 磁場モデルを用いた内部磁気圏衛星の電離圏における位置の同定とオーロラ画像解析
○稲葉裕大(名大ISEE)、塩川和夫、大塚雄一、大山伸一郎
10:20–10:40 複数衛星観測とシミュレーションデータ解析に基づくプラズマ波動の放射線帯変動への寄与
○高橋直子(東大院理)、関華奈子、Mei-Ching Fok、Yihua Zheng、三好由純、笠原慧、桂華邦裕、David Hartley、笠原禎也、笠羽康正、東尾奈々、松岡彩子、横田勝一郎、堀智昭、篠原育
10:40–11:00 レイトレーシング解析を用いたフラッシュオーロラの時空間特性
○井上智寛(金沢大)、尾崎光紀、田中良昌、後藤由貴、八木谷聡、笠原禎也、塩川和夫、三好由純、片岡龍峰、門倉昭、海老原祐輔
11:00–11:20 イオノグラム画像の自動読み取り
○林萌英(九州大)、藤本晶子、吉川顕正
11:20–11:40 多地点の衛星=地上ビーコン観測におけるTECオフセット値の自動推定手法
○坂本悠記(京大RISH)、山本衛
11:40–13:00 昼休み
13:00–13:20 太陽地球系物理学分野データサイエンス
○藤本晶子(九工大)
13:20–13:40 畳み込みニューラルネットワークを用いたフラッシュオーロラの自動検出
○源田斗輝(金沢大)、尾崎光紀、八木谷聡、今村幸祐、塩川和夫、三好由純、大山伸一郎、片岡龍峰、海老原祐輔、細川敬祐
13:40–14:00 短時間データに含まれる複数信号の周波数推定手法ESPRIT (Estimation of Signal Parameters via Rotational Invariance Techniques)の紹介
○山本衛(京大RISH)
14:00–14:20 Development of a phase velocity spectral analysis software package (M-transform) for airglow imaging data and its application on atmospheric gravity waves studies
○Septi Perwitasari(NIPR)
14:20–14:40 休憩
  座長:阿部修司(九州大)
14:40–15:00 波動解析によるプラズマ圏密度の解析法について
○尾花由紀(大阪電通大)
15:00–15:20 サブストームオンセット後に励起されるPc4脈動とオーロラストリーマーの動態解明に向けて
○波多江真紀(九州大)、吉川顕正、魚住禎司
15:20–15:40 昼側極域に見られる動くオーロラの時間空間特性
○高須浩平(京大院理)、田口聡、細川敬祐
15:40–16:00 Quasi-persistent feature of highly structured field-aligned currents in the duskside auroral oval: Conjugate observation by Swarm satellites and ground all-sky imager
○Y. Yokoyama(Kyoto Univ.), S. Taguchi, T. Iyemori, and K. Hosokawa
  閉会
16:00–16:10 総括
田口聡(京大院理)
Symposium-0405a Symposium-0405b
Symposium-0405c  

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2019年7月10日作成,2019年10月11日更新

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