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第178回定例オープンセミナー資料

2014年1月22日

題目

ショウジョウバエ味覚機能のグルーミング行動誘導における役割
Function of gustatory perception on inducing grooming behavior in Drosophila

発表者

柳川綾 (京都大学生存圏研究所・助教)

共同研究者

  • Frederic Marion-Poll (フランス国立科学研究所・教授)

関連ミッション

  • ミッション 4 (循環型資源・材料開発)

要旨

本研究は、発表者が京都大学の支援を受けて平成 24 年度にフランス国立科学研究所(CNRS)で行った研究を紹介するものである。昆虫病理学において、生体防御「行動」における研究は、現在世界的に注目され始めたものであり、過去の研究実績があまりない。これまで、社会性昆虫であるイエシロアリをモデルに、微生物農薬の向上を目指して、昆虫の第一段階の生体防御反応ともいえる衛生行動に関連する菌知覚について、病原菌由来揮発性物質に焦点をおいて研究を進めてきているが、社会性昆虫では遺伝的な背景が煩雑で、分子レベルにまで研究を展開することが困難な面がある。本派遣では、遺伝子研究の強力なツールであるショウジョウバエを使って、昆虫の菌遭遇時における行動および生理学的な現象を調査することで、実際にはどのようなメカニズムが関与しているのかをいうことを明らかにすることを目的に研究を行った。また、ハエ目の病気媒介は、汚染源に接触したのちに同じ個体が人の食べ物に接触したことで生じる間接汚染が主な要因であるため、ハエ目が菌に遭遇した段階でどのような行動をとるのか明らかにすることで、ハエ目による病原菌媒介を阻止できないか検討することも視野に、昆虫目の自然免疫応答研究のモデル昆虫であるキイロショウジョウバエ Drosophila melanogaster と、生息環境中微生物として普遍的に存在している大腸菌 Escherichia coli を用いて、衛生行動、特にグルーミング行動に着目し、その機構について調査したのでこれを紹介する。