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第169回定例オープンセミナー資料

2013年9月18日

題目

セルロースの化学構造特性と糖化酵素との相互作用
Chemical and structural features of cellulose substrates and their interaction with cellulase.

発表者

堀川祥生 (京都大学生存圏研究所・ミッション専攻研究員)

関連ミッション

  • ミッション 2 (太陽エネルギー変換・利用)

要旨

セルロースは木材を代表とした植物の細胞壁を構成する主要な骨格成分であり、地球上に最も多く存在する有機化合物である。また、木材腐朽菌をはじめとする糸状菌などは植物体の主たる分解者と位置づけられる。したがって、彼らが分泌する糖化酵素のセルロース分解機構を明らかにし我々の生活に応用することができれば、バイオリファイナリーを基本とする持続的社会の構築が実現可能となる。

セルロースを加水分解する酵素は総じてセルラーゼと呼ばれ、作用機構が異なる様々な単一酵素が含まれる。例えば、結晶性セルロースの末端から二糖であるセロビオースを遊離するセロビオハイドロラーゼ(CBH)、セルロース分子鎖が比較的乱れた領域をランダムに切断するエンドグルカナーゼ(EG)、セロビオースや短い鎖(セロオリゴ糖)の末端からグルコースを生成する β-グルコシダーゼ(BGL)などが代表的な酵素である。これら酵素と基質であるセルロースとの相互作用に関する研究の歴史は古く様々な報告がされているが、最近になってメカニズムの再考が提案されるなど未だ全容の解明には至っていない。

このような背景を受け、本発表では自身が現在取り組んでいる研究内容を交えながらセルロースとセルラーゼの相互作用について紹介する。