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第143回定例オープンセミナー資料

2011年12月14日

題目

赤道大気レーダーによる電離圏観測の10年
Ten years on ionospheric observation with Equatorial Atmosphere Radar (EAR)

発表者

横山竜宏 (京都大学生存圏研究所・ミッション専攻研究員)

関連ミッション

  • ミッション 1 (環境計測・地球再生)
  • ミッション 3 (宇宙環境・利用)

要旨

赤道大気レーダー(Equatorial Atmosphere Radar; EAR)は、京都大学生存圏研究所(旧 宙空電波科学研究センター)とインドネシア航空宇宙庁(LAPAN)の協力によって、 2001 年 3 月にインドネシア共和国西スマトラ州の赤道上に完成した大型の大気観測用ドップラーレーダーです。主な目的は、高度 20 km 以下の対流圏・成層圏における 3 次元風速ベクトル測定と、それから得られる各種大気波動の研究であり、国際共同利用大型装置として現在までに多数の成果が挙げられています。一方、高度 90 km 以上の電離圏と呼ばれる領域では、太陽紫外線の影響により大気の一部が電離した状態で存在しています。電離圏は下層大気と宇宙空間を繋ぐ遷移領域であると同時に、衛星電波が遅延等の影響を受ける伝搬経路でもあり、特に、局所的なプラズマ密度の不規則構造を伴う電離圏擾乱が発生した場合には、電波の振幅、位相の急激な変動(シンチレーション)が生じるため、GPS 等による電子航法に深刻な障害を及ぼすことが知られています。このような電離圏擾乱の発生機構を解明し、発生を事前に予測することが、科学・実用の両面から求められています。EAR による高速ビーム制御観測により、従来の観測からは得られなかった電離圏擾乱の空間構造をとらえることが可能となりました。EAR による電離圏観測は完成直後から開始され、現在までに約 10 年間の観測データが蓄積されています。本セミナーでは、EAR 電離圏観測の主要な結果を紹介し、その重要性について議論します。


横山竜宏: 第143回定例オープンセミナー資料(2011年12月14日) 写真
赤道大気上下結合のイメージ

横山竜宏: 第143回定例オープンセミナー資料(2011年12月14日) 写真

横山竜宏: 第143回定例オープンセミナー資料(2011年12月14日) 写真 3
赤道大気レーダーの外観