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第134回定例オープンセミナー資料

2011年9月14日

第 1 部

題目

国際緊急共同研究・調査支援プログラム(J-RAPID)への申請経緯
Detail of Application to J-RAPID (Rapid Response Research)

発表者

俊充 (京都大学生存圏研究所居住圏環境共生分野・講師)

関連ミッション

  • ミッション 1 (環境計測・地球再生)
  • ミッション 4 (循環型資源・材料開発)

要旨

米国の北イリノイ大学、マイアミ大学、フロリダ大学と京都大学の共同で「東日本大震災の津波により発生した汚染がれき等災害廃棄物が沿岸環境に及ぼす影響に関する研究調査」というテーマの申請書を日本サイドは JST へ提出し、米国サイドは NSF への提出を試みた。しかしながら、本研究テーマは日本政府や自治体が取り組むべき問題であるという、NSF 関係者の判断により申請直前の段階で取りやめとなった。以下は申請書の概略である。

米国サイドの研究代表者である北イリノイ大学の柴田博士は公衆衛生学が専門であり、2005 年のハリケーン カトリーナとリタにより被災したニューオーリンズにて被災後の環境調査を行うなど、環境モニター調査についての十分な知識と経験を有した人物である。この度の東日本大震災が発生する以前、三年間にわたり福島第一原発とその周辺地域における大気と水質の環境モニター調査をしていた。以前に木材防腐処理廃木材に関する共同執筆をしたことがあり、震災に起因する環境へのインパクトに対して前回の調査結果との比較を行うための共同調査に関する申請を行う運びとなった。

日本サイドの研究代表者は本申請書提出前に京都大学の担当部署と相談し、研究・調査協力を実施する際に共同研究契約が必要になるため生存圏研究所所長より了承を得た。また、本調査研究の研究成果の取り扱いについて、日本側申請者と米国側申請者の共同研究の形をとるということで了解を得た。

研究の目的は、放射能を含む災害がれきが沿岸環境に対して将来的に与える影響を評価することにあった。以下の項目からなっていた:
1) 沿岸環境、特に土壌および水に重点をおき、沿岸地域の災害破片の毒性や放射能の定量的な特性評価
2) 災害がれきのある地域周辺における有毒元素と放射能汚染に関する定量的な環境アセスメント
3) 毒性元素と低レベルの放射能を含む廃棄物の溶出ポテンシャルの評価
4) 原子力発電からの放出された放射性物質の相対的影響を評価するための成分組成変化モデルの開発

第 2 部

題目

福島県下における土壌・水質汚染の実地調査と放射性核種の高速除去技術の実証研究
Sustainable study for the cleaning technology of radioactive materials in contaminated soil and water in Fukushima

発表者

上田義勝 (京都大学生存圏研究所)

共同研究者

  • 徳田陽明 (京都大学化学研究所)
  • 古屋仲秀樹 (京都大学物質-細胞統合システム拠点 (iCeMS))
  • 哲 (京都大学原子炉実験所)

関連ミッション

  • ミッション 1 (環境計測・地球再生)
  • ミッション 3 (宇宙環境・利用)
  • ミッション 4 (循環型資源・材料開発)

要旨

我々は 4 月より福島県農業総合センターと共同で、放射性セシウムで汚染された土壌に対する除洗方法の検討を行っている。農業用地の土壌洗浄は最優先で行うべき作業であるが、確立された手法が未だ存在しない。各研究機関における協力体制は図 1 の様に現地との連携と土壌サンプル採取・洗浄(生存研)、土壌分析と洗浄処理結果の考察(化研)、田面水(稲作土壌を耕作した上澄み)の汚染度の解析とその洗浄に関する検討(iCems, 原子炉実験所)に分かれて行っている。土壌の放射線強度や洗浄状況は RI センター分館の協力の元、随時測定を行いつつある(図 2)。本研究では土壌を痛めない肥料系薬剤を用いつつ、効率を上げる為空気ナノバブル水等を用いての実証実験も行う。実証実験後はフロテーション法(図 3)による放射性物質収集の実証実験を行いつつ、効率的に補修を行う予定である。

上田義勝: 第134回定例オープンセミナー資料(2011年9月14日) 図 1
図 1. 各研究機関の協力関係

上田義勝: 第134回定例オープンセミナー資料(2011年9月14日) 図 2
図 2. 土壌の汚染状況

上田義勝: 第134回定例オープンセミナー資料(2011年9月14日) 図 3
図 3. フローテーション法概念図