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ichiran

第15回(2005年度第7回)定例オープンセミナー資料

2005年11月2日

題目

Toward space weather forecast: a scheme for the long-term risk evaluation

発表者

坪内健 (京都大学生存圏研究所・ミッション専攻研究員)

共同研究者

  • 大村善治 (京都大学生存圏研究所)

関連ミッション

  • ミッション 3 (宇宙環境・利用)

要旨

今後数十年のスパンで、人類の宇宙利用は益々日常的な営みとなる。宇宙太陽発電や通信・気象など種々の実用衛星の利用がその中心となるが、宇宙空間という過酷な環境下ではこれを安全かつ安定に運用する体制作りが何より求められる。宇宙空間、特に地球周辺領域における人工衛星の観測などを通じて解明されてきた電磁場構造やプラズマ粒子の力学が、この環境を定量的に記述する土台となっている。そして高エネルギー粒子の浸入や異常電流の発生など、実際に宇宙活動への障害となる現象を、太陽活動との相関を含めて正確に予測することで実用面に貢献しようという動きが、「宇宙天気」という謳い文句の下で現在進められている。

我々が利用する宇宙環境の障害現象はほぼ太陽活動に起因するものであり、研究の中心となっているのは太陽観測から導出される数時間~数日単位の短期予報である。一方、私が着目しているのは、数か月~数年単位に及ぶ障害現象の発生頻度を統計的に求める長期予測モデルの作成である。例えば宇宙太陽発電の運用が始まると、宇宙で被る不可避な障害による電力供給の不安定化を(特に経済性の面で)緩和するために、地上発電で供給される電力との間で交わされるスワップ契約などが現実的に考えられる。その際に必要となるのは電力供給の不安定さを示す指数だが、ここに長期予測の手法が適用できるはずである。

本講演ではまず宇宙天気の概要と実際に行われている予報業務について紹介する。そして宇宙環境に障害を引き起す現象として地磁気嵐を取り上げ、その規模を示す Dst 指数の 45 年間 (1957–2001) のデータベースを用いた統計解析結果を示す。前回の講演では極値統計の手法から「大災害」値に特化した発生分布関数を求め、これより T-year level (T 年に一度発生するレベル)を見積もった。これに加えて今回は更に時系列解析による将来予測の手法にも言及していく。