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2020(令和2) 年度 生存圏科学 ミッション研究 19

更新日: 2020/08/13

研究課題

科学衛星で観測されるプラズマ波動スペクトルの人工知能による分類解析

研究組織

 代表者 村田健史(情報通信研究機構)
 共同研究者 小嶋浩嗣(京都大学生存圏研究所)
笠原禎也(金沢大学総合メディア基盤センター)
松田昇也(宇宙航空研究開発機構宇宙科学研究所)
関連ミッション
  • ミッション3 宇宙生存環境
  • ミッション5 高品位生存圏

研究概要

科学衛星によるプラズマ波動観測は、宇宙電磁環境のダイナミックな変化やその物理機構を理解する上で、非常に重要であるが、その装置は非常に感度が高いため、衛星内部から発生するノイズも、自然現象を観測したデータの中に含まれてしまう。また、定期的に行うキャリブレーションも装置の性能を評価する上で重要であるが、信号を人工的に印加するためデータとしては、ノイズと同様に非自然現象として紛れ込んでしまう。一方、プラズマ波動の自然現象も非常に多彩であり、その現象の実態が理解されているもの、未だに理解が進んでいないものがある。プラズマ波動の観測は、波形によるタイムドメイン観測とそれを周波数解析処理してスペクトルに変換して観測を行うものに分けられるが、現象の有無や種類とその人工ノイズとの違いをとらえるのは、スペクトルデータが適している。我々は、大量に存在するスペクトルデータから、人工ノイズを自動認識する手法について、人工知能(AI)を用いた手法で昨年度より取り組んでいる。昨年度は、画像認識に適しているAIエンジン畳み込みニューラルネットワーク(CNN: convolutional neural network)を用いて、人工ノイズの判別性能について評価を行い、代表的なノイズが抽出できることを確認した。プラズマ波動データは、そのスペクトルの時間変化がカラーの2次元グラフィックスとして表現できるため、CNNの利用は適したものであった。本年度は、このCNNエンジンを利用して引き続き、人工ノイズ、キャリブレーション信号を適切に抽出できるようにするための教師データの生成手法について工夫を施す。同じノイズについても、時間をオフセットさせたパターンを作成するなど教師データとしてより多くの場合をカバーできるよう対応する。一方で、図に示すように、自然現象と人工ノイズがあるデータにおいて、人工ノイズばかりでなく、自然現象の種類についても認識できるように、教師データの種類を増やしていく。図では、上下のパネルがそれぞれ、横軸が時間、縦軸が周波数であり周波数スペクトル強度の時間変化が色で表されている。上側のパネルが電界、下側が磁界である。このデータでは、後半に、キャリブレーション信号のスペクトルが観測されており、それ以前では、コーラス波動と呼ばれるホイッスラーモード波が観測されている。昨年度までは、後半のキャリブレーションのみを認識していたが、本年度は前半の自然波動についても、その種類を認識できるシステムの構築を試みる。

村田健史: 2020(令和2)年度生存圏ミッション研究 図図: Arase衛星で観測される人工ノイズ(後半)と自然波動.

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2020年8月13日作成

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