研究課題
磁気赤道における電離圏プラズマバブルの大気光イメージング観測
研究組織
代表者 | 大塚雄一(名古屋大学宇宙地球環境研究所) |
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共同研究者 | 塩川和夫(名古屋大学宇宙地球環境研究所) 山本衛(京都大学生存圏研究所) 津川卓也(情報通信研究機) Supnithi Pornchai(King Mongkut's Institute of Technology) |
関連ミッション |
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研究概要
赤道域では、地球の磁場が水平になるため、赤道電離圏特有の不安定現象が起こる。その一つが、局所的に電離圏プラズマが著しく減少するプラズマバブルと呼ばれる現象である。プラズマバブルの内部には、プラズマ密度の不規則構造が発生するため、気象・測位・通信衛星などから送信された電波がプラズマバブルを透過すると、受信障害が起こることがある。従って、プラズマバブルの発生を予測することが社会的に要請されている。これまでに行われた多くの観測的・理論的研究により、太陽活動極大期において、プラズマバブルは日没線が地球の磁力線と平行になる季節(地球磁場の偏角が小さいアジア域では、春と秋)の日没直後に頻繁に発生することが知られている。このような季節変化は、日没線付近で生じる東向き電場が大きい時に電離圏が不安定な状態になることに起因するが、この東向き電場だけでプラズマバブル発生の条件が決まるわけではなく、電離圏中を伝搬する大気波動に影響されることが指摘されている。しかし、これらの大気波動がどのようにプラズマバブル発生と関わっているかを示す観測結果は乏しい。低太陽活動期には、高太陽活動期とは異なり、5–8月の真夜中過ぎにプラズマバブルの発生が多いことが明らかになった。真夜中過ぎにおいて、電場は西向きであり、不安定は成長しにくい。このような条件下においてプラズマバブルが発生するためには、大気波動による影響が大きいと考えられることから、低太陽活動期の観測により、プラズマバブルに対する大気波動の影響を調べることを目的とし、アジア域では初めて磁気赤道における大気光イメージング観測を実施する。磁気赤道に位置するタイ・チュンポンに、全天大気光イメージャー(下図に示す)を設置し、自動連続観測を実施する。この観測により、プラズマバブルが発生する瞬間、また、プラズマバブルを誘起すると考えられる大気波動を捉えることができると期待する。また、このような大気波動が下層大気から上方伝搬してきたものかを確かめるため、中間圏大気波動の観測も併せて行う。
磁気赤道に位置するタイ・チュンポンに設置する予定の全天大気光イメージャー
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2019年8月2日作成