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2012(平成24) 年度 生存圏科学 萌芽研究 11

更新日: 2017/09/23

研究課題

マイクロバブル水を出発原料とする無機材料合成

研究組織

 代表者 徳田陽明 (京都大学化学研究所)
 共同研究者 上田義勝 (京都大学生存圏研究所)
横尾俊信 (京都大学化学研究所)

研究概要

大気汚染や水質汚染は、生活圏を脅かす問題であり、種々の解決策が提案されている。その一つとして、チタニアに代表される光触媒の利用がある。その中でも、高機能化、省資源化、低環境負荷の観点から、ナノ粒子に注目が集まっている。本研究では、種々のナノ粒子を作製する新規な手法を探索し、生存圏科学に資する材料を作製することを最終的な目標とする。

さて、マイクロメーターオーダーのサイズの泡を含む水は、マイクロバブル水と呼ばれており、特異な物理化学的挙動を示すことが知られている(500 nm以下程度の泡を含む場合に、ナノバブル水と呼ばれる)。バブル表面が負に帯電しているため、バブル同士の静電反発によって、長時間消滅しないことや、表面張力が低下することなどが知られている。また、バブル圧壊時に、衝撃波が発生することなども、実験的に明らかとなっている。尚、このマイクロバブル水は BuvitasHYK-32-D を用いることで生成が可能である。

徳田陽明: 2012(平成24)年度 生存圏科学萌芽研究図 1. 粒子解析装置(カンタムデザイン社)

水に超音波を照射すると、局所的な水の粗密に由来するバブルが生成することが知られている。このバブルの圧壊に由来するエネルギーによってラジカルが発生するため、超音波を材料合成に利用するという試み(ソノケミストリ)がなされてきた。この超音波によって作り出された反応場は、結晶軸配向、結晶成長速度の増加という効果を生み出す。

マイクロバブル水においても、超音波照射と同様にバブル圧壊に伴うラジカル発生するとされており、特異な反応場を生み出す可能性がある。また、マイクロバブル水の大まかな特性は、純水と同じであるので、超音波照射下では一般的に容易ではない、高温下、高圧下といった反応条件を用いることもできる。さらに、表面張力が低下することを利用すると、界面活性剤を用いることなく、水と有機溶媒を乳化させることも可能である。このようにマイクロバブル水を出発原料とする材料合成は、新規な反応場を生み出しうる萌芽的な研究であるといえる。

本研究では、環境触媒材料であるアナタース型の酸化チタン(TiO2)のナノ粒子を高効率に作製することを試みる。具体的には、水を用いるゾルゲル法に着目し、出発原料としてマイクロバブル水を用いることによって、低温度での結晶化、高効率(高い結晶成長速度)な反応を試みる。

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2012年7月17日作成

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