研究課題
熱帯アカシア人工林におけるシロアリおよび木材腐朽菌類の多様性評価
研究組織
代表者 | 吉村剛 (京都大学生存圏研究所) |
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共同研究者 | 竹松葉子 (山口大学農学部) 本田与一 (京都大学大学院農学研究科) 簗瀬佳之 (京都大学大学院農学研究科) 土居修一 ((元)筑波大学大学院生命環境科学研究科) 小野和子 (京都大学大学院農学研究科・博士課程2年) Himmi Setiawan (京都大学大学院農学研究科・修士課程2年) 平田一紘 (京都大学大学院農学研究科・修士課程2年) |
関連ミッション |
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研究概要
研究グループが核となって実施した平成 20~22 年度科学研究費(基盤研究B海外調査研究)(研究代表者: 吉村剛)によって、以下の 2 点が明らかとなった。
- 一度伐採されてしまった森林は、20~30 年経過して外見的には森林としての様相を呈していたとしても、シロアリおよび菌類の種多様性や機能的多様性は天然林には遠くおよばない。
- アカシア植林による乾燥化が生物多様性において重要な意味を有している。
これらの結果は、伐採サイクルの長期化、すなわちパルプ・製紙用としてのアカシア植林から製材用としてのアカシア植林に転換したとしても、バイオマスの循環を支えるシロアリ相および木材腐朽菌類相の回復は困難であることを示唆しており、継続的な追跡調査の必要性が指摘された。
本研究は、上記生物多様性の回復と長伐期化の関係に関する追跡調査の提案であり、具体的には、3 年毎を目途とし、マレーシア・サバ州の KM Hybrid 社アカシア・ハイブリッド植林地において継続的な調査を行うものである。
調査地
サバ州・コタキナバル郊外にある越井木材工業(株)とサバ州政府との合弁植林会社 KM Hybrid Plantation 社植林地におけるアカシア・ハイブリッド植林地を予定している。
調査方法
シロアリ相
上記先行研究で採用したベルト・トランセクト法を用いる。2 m×100 m の調査区画を設定し、それを 1 m×5 m の小区画 40 に分割する。この小区画について、1 人が 30 分で、シロアリ塚、高さ 2 m までの樹上巣、蟻道、朽ち木、倒木、朽ち木や倒木下の土壌、枯れ枝について、そこに存在するシロアリ種をすべて採集する。
腐朽菌類相
同様に、上記先行研究で採用した方法を用いる予定である。シロアリの場合とは異なり、2 つの方法で調査を行う。まず、定量的な評価については、シロアリ相の調査で設定した 100 m のラインに直交する形で幅4 m、長さ60 mのベルト・トランセクトを 3 本引き、この区画内に存在する木材腐朽菌類の子実体(いわゆるキノコ)をすべて採集する。次に、その地域全体の種構成を評価する目的から、シロアリ用ベルト・トランセクトと木材腐朽菌類用ベルト・トランセクトをすべて含む 60 m×100 m の区画内でランダムな子実体の採集を行う。
種の同定と結果の解析
採集物をとりまとめ、シロアリの場合は液浸標本、多孔菌類の場合は乾燥標本とし、現地の持ち出し許可を得た上で日本に持ち帰る。種同定の後、各区画における種数を算出し、区画全体のデータをとりまとめる。本法はシロアリ相や菌類相の標準的調査方法として確立されているものである。
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2013年7月25日作成