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2014(平成26) 年度 生存圏科学 ミッション研究 21

更新日: 2017/09/19

研究課題

Siドープ木質系DLC膜による低軌道宇宙環境耐性の向上

研究組織

 代表者 畑俊充 (京都大学生存圏研究所)
 共同研究者 田川雅人 (神戸大学工学研究科)
小嶋浩嗣 (京都大学生存圏研究所)
梶本武志 (和歌山県工業技術センター)
関連ミッション
  • ミッション 3 (宇宙環境・利用)
  • ミッション 4 (循環型資源・材料開発)

研究概要

低軌道(Low Earth Orbit,LEO)を航行する宇宙機の材料には原子状酸素(Atomic Oxygen, AO)などの複合宇宙環境下で急速な劣化を生じることが知られている。衛星の寿命が末期においてもその機能を維持するための耐環境耐性が必要である。木質炭素化物には宇宙環境で必要とされる電気や熱の伝導性、電磁波遮蔽性などの機能を有しており、LEO を航行する宇宙機の材料開発にふさわしいものとなっている。木質炭素化物は導電性を有し電荷の局在を防ぐことから、宇宙用材料としての高いポテンシャルを有している。研究代表者等のグループは、これまで木材構成成分を炭素化することにより炭素材料開発を行い、宇宙用材料への適用性を評価してきた。本研究においては、高温結晶体と Si とを含む木質系炭素材料から DLC 膜を合成することを目的とする。

木質材料を炭素化して得られる物質を 1,000 ℃の高温まで加圧焼結することにより、結晶化の進んだ乱層構造炭素をつくり、得られた高温焼結体とSiなどを混合してスパッタリング用ターゲットを合成する。得られたターゲットから作られる DLC 膜には AO に対する耐久性と導電性の両方が付与されるという 2 つの性質を備えた機能性木質炭素化物となる可能性をもつ。低軌道宇宙環境をシミュレートした装置を用いて得られた DLC 膜に AO 照射を行い、DLC 膜表面における宇宙環境劣化に関わる化学結合状態を分析する。Si ドープ試料では酸化膜が形成されることのみならず、表面化学構造分析による炭素と他の元素との結合状態から起こりうる変化を推測し、自己修復機能付与の鍵となる SiOxCy 構造の特徴を明らかにする。Si ドープ DLC 層の形成について、木質由来ならではの構造的特徴についても検討を進める。

畑俊充: 2014(平成26)年度 生存圏ミッション研究 図 1図 1 スパッタリング装置

畑俊充: 2014(平成26)年度 生存圏ミッション研究 図 2図 2 スパッタリング装置による試料作製イメージ

畑俊充: 2014(平成26)年度 生存圏ミッション研究 図 3図 3 AO照射装置

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2014年7月29日作成

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