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マイクロ波精密制御による癌の集学的治療とセラノスティックス
The individualized therapy and theranostics for cancer by use of microwave irradiation and multifunctional drug delivery system.

更新日: 2019/04/08

氏名 浅野麻実子
共同研究者 篠原真毅
採択年 2019(平成31) 年度

マイクロ波は生体を非侵襲に透過し、癌細胞を容易に高温にして死滅誘導するため、凝固焼灼療法やハイパーサーミアに利用されている。一方で近年、マイクロ波の特殊な加熱機構が解明され、多くの化学反応が熱伝導加熱よりも低温かつ短時間で進行することが明らかとなった。そのため生体にマイクロ波を照射すると、熱伝導加熱では未観測の生命現象や細胞摂動が起きると推測される。ここから、腫瘍へのマイクロ波照射を精密に制御すれば、現行より低温でも効率良く癌細胞を死滅できると着想した。また死滅メカニズムを解析・制御できれば、治療効率を向上した新しい癌治療法に応用可能と考えた。そこで我々はこれまでに、マイクロ波照射を精密に制御可能な装置を自作し、37°C管理下でもマイクロ波照射により癌細胞を死滅誘導できることを明らかにした。またその死滅経路は、これまで考えられてきた熱ストレス応答による死滅とは別の経路にて進行することを見出した。

本研究では、本現象の癌治療への応用及び個別化治療を目指し、マイクロ波照射とDrug Delivery System (DDS)製剤を組み合わせ、狙った癌細胞のみを死滅誘導させる手法を開発する。更に、治療と同時に癌細胞の状態を確認・診断する「セラノスティックス」を実施する。具体的には、蛍光色素を含有したDDS製剤を、モノクローナル抗体により癌細胞の特異的分子に局在させる。これにより、DDS製剤内に包埋された磁性ナノ粒子や抗癌剤を癌細胞のみに取り込ませる。ここにマイクロ波を照射し、癌細胞特異的な死滅誘導を行うと同時に、抗癌剤との併用効果を期待する。将来的には、本DDS製剤をin vivoに投与し、磁性ナノ粒子を造影剤としてMRIに適用することで、腫瘍の高感度画像検出や機能評価を可能とする。

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2019年4月8日作成

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