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植物バイオマス由来抗ウイルス活性物質の探索
Antiviral compounds from plant biomass

更新日: 2017/07/05

氏名 應田涼太
共同研究者 渡辺隆司
採択年 2017(平成29) 年度

世界人口は約70億人(2011年11月現在)を超え、今世紀末までには100億人を突破すると言われている。化石資源に過度に依存した社会構造から、地球温暖化が進み、人や動植物などの移動が活発化するについて、病原性ウイルスによる感染症の蔓延が深刻化している。このため、病原性ウイルスによる感染症の蔓延を予防する消毒薬や薬効成分を、再生可能資源から生産することの意義は大きい。

木材は、これまで建材や紙パルプへの利用が中心で、微量な抽出成分を分離して機能解析をする研究は活発に行われてきたが、木材そのものを人為的に分解して、生理活性物質を合理的に作り出す研究はほとんど行われていない。これまで、生存研とウイルス・再生医科学研究所などは、学外研究機関と連携して、木質バイオマスの熱分解産物、木竹炭を製造する際に副次的に得られる木竹酢液の抗ウイルス性物質の探索研究を行い、ウイルスに対する強い不活化活性をもつ多数のフェノールやカテコール誘導体を見出すとともに、原料樹種や製造条件により、木竹酢液の抗ウイルス活性が大きく変わることなどを明らかにしてきた。本研究では、木竹酢液の新規な抗ウイルス性物質の同定を行うと同時に、抗ウイルス性物質を作り出すのに適した木材の分解条件を探索して、廃材や未利用材などからも、合理的に生理活性物質を作り出す新分野を作り出す。さらに、植物の二次代謝産物であるシコニンやベルベリンといった天然化合物に着目し、それらの抗ウイルス活性を解析することを目的とする。

2010年、家畜伝染病である口蹄疫が宮崎県で発生し、29万頭の牛や豚が殺処分された。口蹄疫は、ピコルナウイルス科の口蹄疫ウイルス(foot-and-mouth disease virus; FMDV)による感染症である。FMDV感染による致死率は低いものの、その高い伝播性や罹患した動物の生産性減少のため、患畜は全て速やかに殺処分される。したがって、FMDV感染においては予防対策が重要であることに疑いの余地はない。しかし現時点で、環境および家畜に害を及ぼさないFMDV予防対策は確立されていない。木竹酢液は環境への悪影響は少ないと考えられ、さらに、その人畜等に対する安全性も評価されている。本研究において、中国で唯一口蹄疫ウイルスを研究している国家重点研究機関である蘭州獣医研究所との国際共同研究を行い、広汎なリソースである植物成分の新たな抗ウイルス因子のスクリーニングと、それらの分子レベルでの機能解析を進めていく。(図参照)。

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2017年7月5日作成

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