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第219回生存圏シンポジウム
木の文化と科学 XII 木の文化へのいざない —インド・東ヒマラヤ—

更新日: 2015/05/22

開催日時 2013/02/22(金曜日) 14:00–16:00
開催場所 キャンパスプラザ京都4F 第2講義室
申請代表者 杉山淳司 (京都大学生存圏研究所バイオマス形態情報分野)
所内担当者 菅野奈々子 (京都大学生存圏研究所バイオマス形態情報分野)
関連ミッション ミッション 4 (循環型資源・材料開発)
関連分野 文化学、文化人類学、木材科学、地域研究

目的と具体的な内容

昨今、東アジア地域は著しい産業発展をみせている。これらの地域では産業の発展に伴い、急激に文化財科学の分野の重要性が認識されつつある。そのような東アジア地域の中でも、我々が中国・チベット・ベトナムにおいて共同で実施している遺跡出土材や木製建造物調査についての研究成果を公開することで、海外から伝来した文化や宗教などの影響が強く残る日本の学際的研究分野の研究者にとって非常に有益となる情報を共有することを目標とした。また東アジア地域における文化財調査・保存における京都大学の社会貢献を周知することにもつなげていくものである。

本シンポジウムは、今まで 11 回に渡って行ってきた木の文化と科学シンポジウムの第 12 回目であった。11 回にわたるシンポジウムでは、主に自然科学と人文科学との学際研究について日本ならびに中国・ヨーロッパなどでの研究例を紹介してきた。12 回目は中国に加えてチベットやベトナムといった東アジア地域に注目し、特にこれらの地域における歴史的住居ならびに寺院用材の樹種同定結果を報告することにより、これらの地方に伝わる木の文化に関する「知」の集積を科学的証明し、シルクロードなどを通り海外から伝来した文化、宗教などの影響が強く影響した日本国内の文化の理解にも寄与させた。本報告会では、特にインドシッキム地域における寺院建築の調査結果ならびに、インド森林総合研究所研究員からの現在のインドの木材に関する現状を発表いただいた。

生存圏科学の発展や関連コミュニティの形成への貢献

環境負荷が少なく、持続的、そして快適な未来を提案するいわゆるグリーン・ライフイノベーションを未来で実現することが現代を生きる我々の使命である。未来型の循環型生活を可能にするため、古の仕組みの中で基盤となってきた木材の選択的利用や年輪情報による過去の情報抽出は非常に重要である。古の英知と先端科学を融合し、木質文化財から様々な情報を抽出したことで得られた情報を、人類が歩もうとしている未来の構築に向けたデータとして活用することが必須である。

本研究集会では、今まで文化財科学の面で発展途上となってきているインド共同研究成果を報告したことで、日本を含めた地域の生存圏に関わる古の知の集積を行うことが可能であり、これらの情報は未来の循環型生活へのヒントを多く含むと考えられることから有益であったと考えられる。

また、これまで同様に、シンポジウムには他分野からの参加者が多く、当日の参加者の内訳をみてみると、文理融合、学際的な色彩が強かった。京都の伝統文化を守り、世界に発信しようとしている京都を代表する方々、大学で森林や環境について教鞭をとられている方々、技術の伝承と科学の接点をもとめる方々など、非常多岐にわたる参加者を得、新しいコミュニティの広がりをみたシンポジウムであった。また、インドの木材選択という観点から、逆に日本の建築における木材選択を再認識するような質疑も飛び交い、非常に有益なシンポジウムとなった。

プログラム

Dr. Sangeeta GUPTA (Forest Research Institute, INDIA)
サンギータ・グプタ博士 (インド森林研究所)
Wood Culture in India: Past, Present and Future
インドの木の文化:過去から現在、そして未来へ

Dr. Mechtild MERTZ (RISH, Kyoto University)
メヒティル・メルツ博士 (京都大学生存圏研究所)
Wood Identification of Temple Structures in the Sikkim Himalayas
ヒマラヤシッキム地方における寺院建築用材の樹種識別

 

Symposium-0219   ポスター PDF ファイル (453 356 バイト)

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