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第240回生存圏シンポジウム
第3回東日本大震災以降の福島県の現状及び支援の取り組みについて

更新日: 2015/09/08

開催日時 2013/12/20(金曜日) 9:30–17:00
開催場所 京都大学宇治おうばくプラザ きはだホール
主催者 京都大学生存圏研究所
申請代表者 上田義勝 (京都大学生存圏研究所)
所内担当者 上田義勝・杉山暁史 (京都大学生存圏研究所)
関連ミッション ミッション 1 (環境計測・地球再生)
関連分野 生存圏科学、植物科学、放射線計測学、社会学。

場所: 京都大学宇治おうばくプラザ きはだホール

共催: 国立大学法人協会
後援: 京都府

目的と具体的な内容

東日本大震災時の原発事故により、福島県下では広範囲に放射性核種が降り注ぎ、その結果として生活圏及び農業圏に大きな影響が出ている。2011(平成23)年度は第 191 回生存圏シンポジウムとして、2012(平成24)年度は第 215 回生存圏シンポジウムとして「東日本大震災以降の福島県の現状及び支援の取り組みについて」を開催し、延べ 150 名以上の参加者が活発な議論を行ってきた。放射性物質の問題は、生存圏における緊急的、かつ長期的に取り組まなければならない課題である。そのため、2013(平成25)年度も継続してシンポジウムを開催し、福島県の現状と、2013(平成25)年度に行った支援研究の成果を中心に講演を行った。

福島県環境保全農業課、福島県農業総合センター、東北農業研究センターから、福島県の現状と福島県で行われている水稲、畑作物、野菜に関する取り組みや研究を発表した。また、生存圏研究所・化学研究所で行われている微細気泡水によるセシウム除去やその応用研究、ダイズにおけるセシウム蓄積に関する報告を行った。さらに、本学原子炉実験所、京都女子大学、東京大学、島根大学や、飯館村で震災復興に取り組まれている NPO 法人「ふくしま再生の会」から講師を招待し、復旧・復興、除染、避難等の幅広いテーマで議論を行った。

生存圏科学の発展や関連コミュニティの形成への貢献

原発事故による放射性物質の拡散により福島県では農林水産業に大きなダメージが与えられた。震災から 2 年半以上が経過し、福島県の情報は新聞等に報道されることが少なくなりつつあるため、現状や取り組みについて幅広く情報を得ることは困難である。本研究集会を通じて、福島県や国の担当者が直接、現状、研究状況を広く公開することにより、生存圏科学のコミュニティーに現地の正しい情報を伝えることができた。さらに、今回は「ふくしま再生の会」の理事の講演もあり、市民の立場から見た現地での取り組みや課題を知ることができた。本研究集会では一般の方々と共に、企業や官公庁からの参加者も多く、生存圏科学が震災復興において果たすべき役割について幅広い立場から議論できたことは、生存圏科学のコミュニティー形成に寄与したと考えている。

また、本研究集会では震災後の取り組みについて異なる立場、異なる意見を持つ参加者が一堂に会したということも特筆すべき点である。時間を大幅に超過した活発な討論があり、生存圏科学のコミュニティーが震災の復旧・復興や原発事故後の安心・安全な社会の構築に向けて果たす役割について議論が深まった。

特記事項

本シンポジウムに関する記事が京都新聞(2013 年 12 月 1 日付、12 月 13 日付)に掲載された。農林水産省、原子力機構、京都府、滋賀県からも参加者があった。

プログラム

9:30–  9:40 開会挨拶
生存圏研究所長 津田敏隆
 
   【session 1】 司会: 伊藤嘉昭
9:40–10:00 これまでの福島県に於ける震災対応研究について
京都大学 上田義勝 (生存圏研究所)・徳田陽明 (化学研究所)
10:00–10:30 KURAMAの開発と展開の現状
京都大学 谷垣実 (原子炉実験所)
10:30–11:00 原子力の安全と安心とセキュリティの違いを考える ~リスクと不信・不満・不安と不作為の視点から~
京都女子大学 水野義之
11:00–12:00 原子力の罪と被害の低減
京都大学 小出裕章 (原子炉実験所)
 
   【session 2】 司会: 徳田陽明
13:00–13:30 福島県下の農用地における放射性物質の分布調査とダイズの放射性セシウムの移行状況の研究
東京大学 二瓶直登
13:30–14:00 セシウムを吸収しないイネの作出を目指したセシウム輸送体の探索およびこれらの輸送体を持たない変異体イネのセシウム輸送能の評価
島根大学 秋廣高志
14:00–14:20 蛍光X線を用いたダイズ子実及び根粒内のセシウム蓄積部位の検討
京都大学 杉山暁史 (生存研研究所)
大阪府立産業技術総合研究所 陰地威史,喜多幸司
京都大学 伊藤嘉昭 (化学研究所)
 
   【session 3】 司会: 杉山暁史
14:40–15:10 福島県における農林水産物の安全性確保の取組について
福島県環境保全農業課 天野亘
15:10–15:40 福島県内の農地における放射性セシウムに関する研究 —農作物の放射性セシウム吸収抑制対策—
福島県農業総合センター 齋藤隆
15:40–16:10 イネによる放射性セシウム吸収に関する研究
東北農業研究センター 藤村恵人
16:10–16:40 飯館村 村学協同の除染村民の手による調査と除染の努力
ふくしま再生の会 菅野宗夫
 
16:40–17:00 閉会挨拶
上田義勝

 

Symposium-0240   ポスター PDF ファイル (1 395 831 バイト)
ポスター制作: 上田義勝 (京都大学生存圏研究所)

 

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